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----------2005年12月26日(月) Hiris

カルヴァン・クラインの「コントラディクション」という香水を使っていた。否定あるいは反駁というその名前のわりには甘ったるく、弱々しい香りがあまり好きではなかったのだけれど、とりあえずこの1本を使い切るまではあらゆることを我慢していよう、と思っていた。

もちろん「contradiction」には矛盾、自家撞着、という意味もある。昨日否定したものを今日は愛し、明日は憎み、明後日には懐かしむ、見渡す限り矛盾だらけの日々に添えるにはふさわしい名前の香水であった。

けれど今朝首筋に吹きかけたときに空気が交じり、そんな日々も終わりを告げようとしていることに気づいた。

残りわずかになった甘ったるい否定を空に放ち、華やいだ街に、あの時間がはじまる前につけていた懐かしい香水を買いに出かけた。濃紺のボトルに詰め込まれたアヤメの凛とした香りは強く、気高く、誇りに満ち溢れていて、明日からは胸を張って背筋を伸ばして歩こうと思った。