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----------2005年10月07日(金) 041-048
041 あの場所は、非−現実的な場所で、そこでの時間は世間の時間と全く異なる流れ方をしていた。だから、一度離れてしまえば、おそらく、二度と探し出せない。
042 楽園を喪ってしまったわけだ。
043 甘酸っぱく、気倦く、物憂げで、そうしてどこまでも自堕落で、ただひたすら、自分とだけ向き合っていられた「楽園」。
044 誰だってそんな時間が必要なんじゃないか? ただそれがあまりに長すぎるとこんなふうに−文字通り、こんなふうに−なってしまうのだけれど。
045 こんなふう。つまり、喪われたものだけを追い求め自分が投げ込まれている現実からいつも逃げ出すことばかりを考え。いつまで経っても適応できず。
046 ちょっと待って、あのとき彼はなんて言ったんだった? 「しっかり稼げよ」、たしか、そうだ、そうだった。あれはもしかしてものすごく的確なアドヴァイスだったのかもしれないと今更思う。多少俗っぽいけどさ・・・。
047 稼ぐ能力を完全に欠いているくせに「俗っぽい」などと大上段に構えてみせるのは悪い癖だ。稼ぐべき。稼ぐべき。稼ぐべき。
048 楽園の冷蔵庫にはキャベツとバターしか入っていなかったこともあったけれど、幸せだったんだ。それでも稼ぐべき?
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