indexbacknext

----------2005年10月03日(月) 014-019

014 皆があまりにたくさん書くから電波に溶け込んだ不可視の世界はもうぎゅうぎゅうぱんぱんのすし詰め状態なのだよ。そのうちきっと塊になって歩き出すよ。

015 和紙を漉くように、粗い網の目の上に、ひとつの世界が出現する。なかったものが、あるものになる。そしてそれはある日突然悪意をもってキミに襲い掛かってくるのだ! けれどそれは元々はなかったものなので、壊したり破いたり燃やしたりすることができない。いつまでもからみついて、心臓をしめつける。

016 窓の開かない底冷えのする部屋で、キミは今日も透明な糸を紡ぐ。

017 まったく、交わすべき言葉が見つからない。「秋のドラマは何を見る?」見ねぇよ、何も。

018 だからもう目を閉じてしまうのがいい。氷嚢を乗せて、消化できなかった言葉を瞼の裏でバラバラに切り刻む。

019 こうしてまた怪物が育つ。つぎはぎだらけの、無様な怪物が。