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----------2005年05月29日(日) 尼寺へ行け
まったくなんと不自由なのだろうか。
朝、鳥のちゅくちゅく鳴く声と眩しい日差しに起こされる。熱い珈琲を淹れ、シリアルに冷たい牛乳をかけて食べる。顔を洗い、薄く化粧をして、朝の散歩。川があればなおよし。もちろん緑は欠かせない。それから本を読む、何か書く、少しおなかがすいてきたらサラダを食べる。今ならトマトでもいいか。そしてまた本を読む、何か書く、その間背後では常にオンガクが流れていれば最高だ。日が傾いてきたらまた散歩に行く。帰ったらお風呂に入り、ビールを少し。夕食にはチーズがあればいい。そうして眠くなるまでまた本を読む。
多分海綿が望んでいるのはそれくらいのことだ。なのにどーだい。
朝、目覚ましを何度も止めては寝て、止めては寝て、を繰り返し、ぎりぎりの時間にベッドから這い出すと朝食をとっている時間なんてなくてインスタントの珈琲を流し込んでテキトウな化粧をして家を飛び出す。凶悪な顔つきで自転車を飛ばし、道を塞ぐ通行人にチリリリリとガンを飛ばし、息を切らせて会社に行く。それから端末を叩く、ひたすら叩く、「マウス症候群」を悪化させると言われているずばりそのままのポーズ、つまり左肩と左耳で受話器を挟みながら両手はキーボードとマウスの上。お昼はコンビニのサラダかサンドイッチ、そしてまるで新幹線の喫煙車両のような空気の悪い部屋でせわしなく煙草を吸い、また端末を叩く、ひたすら叩く、耳元に凶悪なオンガクを響かせてまた自転車に乗って家に帰ると待っているのは爆音TV。それから逃れるためにお風呂に入る、唯一の心安らぐ時間。そうして脂っこい食事が冷蔵庫にはいやというほど詰まっているので結局何も食べられないことのほうが多い(だから海綿は痩せ衰えていくのだ)。そうしていくら本を読んでも、こうして何かを書いていても、一向に自然の眠気は訪れない。「深夜」という重荷が両の肩にずっしりとのしかかる。
どこかに突破口はないものだろうか、とこの1ヶ月、海綿は真剣に考えてみたけれど、「宝くじがあたったらいいな」くらいしか答えらしい答えを見つけることができなかった。
そして「修道院に入りたい」、と唐突に思う。
ルールその29:「無理だ」と思ったら無理をすること。
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