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----------2005年03月29日(火) もう二度と会わないひとたち

「わたしが身を消しさるすべを知ってさえいれば、わたしが歩く大地、わたしが潮騒を聞く海、そして神とのあいだに、完璧な愛の一致が存在するだろうに・・・」(シモーヌ・ヴェイユ「カイエ3」/みすず書房)

私が今の職場を離れていた3ヶ月の間もあそこは何の支障もなく、愚痴と文句と不平と不満とを飲み込んで、何も変わらず、よどみなく、業務は運営されていたわけで。

誰かがいなくなったとして、またそこには他の似たような誰かが現われて、そうしてまた去っていくだけのこと。4月の勤務表にはいくつかの名前が欠けている、けれどいくつかの名前が増えている。

「わたし」なんて所詮その程度のものだ。

いつか、人間も、生物も、皆死に絶えたとして

荒れ果てた地表を眺めてきっと神様は微笑むだろう。

貸し与えられた「世界」で、笑ったり、泣いたり、怒ったり、ケンカしたり、愛したり、憎んだりして

滑稽だなと思うけれど

ニワちゃんが「長い間お世話になりました」と言って渡してくれたふらんすやの桜色のクッキーが胸に痛い。

それでも仕事は続いていく。

何一つ変わりなく続いていく、桜色の寂しさを滲ませて。

もう二度と会わないであろう人たち。

どうかお元気で。