index|
back |
next
----------2005年03月19日(土) ただ、虚しい。
「労働者はパンより詩情を必要とする。生活が詩である必要性。永遠の光の必要性。 ひとり宗教のみがこの詩情の源泉たりうる。 民衆の阿片、それは宗教ではなく革命である。」 (シモーヌ・ヴェイユ「カイエ3」/みすず書房)
労働者の現実を知っているはずのシモーヌは皆が求めているものが詩情などではなくパンであることくらい分かっていたと思う。単調な日々は詩になるわけなどなく、永遠にも思える反復には光などささない。
どうしてこんなに殺伐としているのかな、とときおり疑問に思う。休憩室では誰もが愚痴と文句に終始する。笑いは誰かをあざける笑いであり、声をひそめたナイショ話は誰かの批判に決まってる。誰もが何かがおかしいと思っている、何がおかしいのかもおぼろげながら分かっている、けれどもう自分たちの声は絶対に上には届かないことが分かってしまった今となっては(そ、ジーンズ争議には完全に敗れました)誰もそのおかしいことに対して声をあげようとはしない。
宗教などはもちろんなく、「革命」という阿片すらなく。
ただ自分との戦い。他人との比べあい。
虚しくないわけがない。
だからこそ、あえて、「詩情を」と、書いたのだろう、と思う。
|