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----------2005年03月04日(金) ハリーポッターの魔法の点滴

「センセイのは、スペシャルなんですね」
「スペシャルですとも」
「どう違うんでしょう、普通のと」
(川上弘美「センセイの鞄」/文春文庫)

たかが生理食塩水の点滴なのだけれどどうしてこんなに効くのだろう。今日はもう朝から絶好調、母と冗談なども飛ばしあったりして(!)意気揚々と駅に向かうといつもの地下鉄を乗り過ごしてしまったのでこれまた意気揚々とタクシーをつかまえて職場に向かい「おはよー!」

「なんか、なじゃさん、今日、キレイですよ」
「いつもや」
「・・・いや・・・肌もつやつやしてるし」
「そおおおお?????」

上機嫌、というやつである。

たしかに何度かトイレに駆け込んで涙を流しながらゲホゲホと咳き込んだこともあったけれどそれ以外は無事に11時間働けた。やはりRセンセイはただのハリーポッターもどきではないのである。Rセンセイは私が右腕にしか点滴できないことをもうちゃんとご存知で、いつも普通の患者さんとは逆の方向に枕を用意してくれる。そうして「ちょっとちくっとしますよー」と丸いめがねの向こうでにこっとしながら、左腕よりはまし、とはいってもやっぱりたくさんの引きつれのある右腕にすっと針を刺してくれる。ベッドに横たわって、Rセンセイの顔を見上げていると胸がドキドキしてくるのだ、これは、恋だ。

やっぱり1年に3、4回は39℃の熱を出さなければならない(なんだこの結論は)。