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----------2005年02月22日(火) 無関心な人びと
「ぼくと同じようにしてごらん」彼は冷ややかに言った。「嵐が荒れ狂いそうになったら、かたく口をつぐんで開けないんだよ・・・そのうち嵐は過ぎる、そうして何もかも終わるのさ」(モラーヴィア「「無関心な人びと(上)」/岩波文庫)
もうずっとながいこと口をつぐんでいるような気がするけれど嵐は過ぎない。終わったのは他人に対する欲望の問題だけ。黙り込んでいる間に望むことをしなくなった。「まあ、所詮、結局、そういうものだから」。そうして何も感じない。
怒っても、悲しんでも、笑っても、喜んでも、以前とは強度が確実に違っている。
感情を分かち合える人も減った。
いなくなった、かな。
だいたい話さないのだから分かち合えるわけもなく。
自分に起こった出来事や自分に生じた感情を誰かに教えることの意味とか意義とかを問うてみても虚しい。バックグラウンドが違う、同じ「解釈共同体」に属していない、理解も共感も望めない、私は人びとに対して無関心であり人びとも私に対して無関心である。
こうしてどんどん無口になって、いつしか「何もかも終わる」、すなわち、「タイムアップ」がやってくるんだろう。
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