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----------2005年02月20日(日) ゆっくり、帰ろう。

「一枚の木の葉の前に立ちつくしたり、一本の樹木を眺めて我を忘れたりすることのできないこうした連中をわたしは憎む。彼らはみんな自分の《新聞》を持って、そこに鼻をつっこみ、彼らの精神は新聞のおぞましい、悪臭ふんぷんたるおしゃべりに興奮し、《政治》の支離滅裂さと卑猥な言葉に唖然とし、吐き気がするほど信じやすく、ニュースの新しさに気をとられて、つねにそこに−われわれの眼の前に−あるものの汲み尽せぬ新しさに瞠目することを知らない・・・」(ポール・ヴァレリー「純粋および応用アナーキー原理」/筑摩叢書)

今日は起きているようなので(笑)復刊ドットコム、ご協力いただける方は是非。

9時過ぎに仕事が終わるとみんなわれ先に通用門におしかける。「おつかれ、バイバイ」の挨拶もそこのけに、コートの襟をたてて、背中をすぼめながら、駅へと急いでいく。でも私は知ってるの、隣の空き地に子猫が何匹かいることを。ホントはそんなことしちゃいけないのは分かってるけど、残業用にいつも携帯しているクラッカーを砕いて掌にのせてちゅちゅちゅ、と舌を鳴らすと何匹か寄ってくる。子猫たちは用心深いので、決して私の手からは食べてくれない。だから地面において、少し離れたところにしゃがんで様子を見る。にゃあ、と鳴いて寄ってくる子もいるけれど、撫でてやろうとするとすぐに逃げ出す。こんなに冷え込んだ夜、あいつらは何処でどうやって眠ってるのかな、うちのアホ猫2匹は押入れに入り込んで出てこないけど。

急いで帰ったって、待っているのは父か母が見てるくだらないテレビの音だけだから、私は今日も、回り道をして、ミスドでコーヒーを飲んで本を読んでから、帰った。

ねえねえ知ってる、あの通りでは9時半とか10時になると鐘が鳴るんだよ、ライトアップした街路樹と鐘の音の組み合わせはちょっと、キレイだよ、そんなに行き急いで、生き急いでどうすんのさ、たまには、じっくり、周りを見渡してみたら、と言ってあげたい同僚がいるんだけれど彼女は新婚ほやほやなのだった。

そりゃー早く帰りたい、か。

ゆっくりできるのは、独身の間だけ、だって? それじゃ男って単なる足枷ぢゃんね(負け犬の遠吠えとか言うな)。