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----------2005年02月01日(火) あなたの知らないわたし
「いつもマリは「同時にいくつかの人格を持つべきだ」と言った。あるときはひたむきに何かに打ち込み、あるときは欲望の虜となる。あるときは徹底的に他人に尽くし、あるときは自分のためだけに生きる。つねに他人の印象を裏切り、新しい自分を生み出していく。果たしてそんなことが自分にできるだろうか。」(植島啓司「オデッサの誘惑」/集英社)
あなたから受けた影響は否定しない、できない。
だから駆り立てられる、もの凄く駆り立てられる、自分の別の顔、疲れて、やつれて、生気のない顔の下に、もうひとつの自分の顔を作り出すことに。あなたが見ているわたしは本当のわたしではなくわたしはあなたが想像もできないような知的な−もしくは猥らな−わたしを隠し持っている、という甘美な想像。
単一化されてしまったらそれで終わり、人は他人の知らないもうひとつの人生を持つ必要がある、此処はたしかにその一部かもしれないけれど足りない、とても足りない。他人が私に対して抱くイメージを毎日のように覆していくこと。
「それがすべて」という生き方では疲れるだけだ、逃げなくては。
果たしてそんなことが自分にできるだろうか?
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