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----------2005年01月21日(金) 大学狂ひの女
「いかなるたぐひの触れあひとて、むかつくなり。おのれの名をよむことすら。」(D・H・ロレンス「島狂ひの男」/不死鳥社)
the man who loved the islands、というタイトルのこの小編、不死鳥社という謎な出版社から鈴木新一郎という人が全編を文語体で訳したものが500部限定で出ている。K大の地下書庫で昔読んだ。普通批評などでは「島を愛した男」と訳されているし、後に原書でも読んだけれど、6匹のヒツジと1匹の猫だけを連れて周囲1609mの小さな島に移住してそこで次第に壊れていく男を描いたこの作品の、「狂ひ」という強烈な感覚はほかのものではどうしても希薄だった。あの地下書庫の静謐を思い出す。直射日光を完全に拒み、空気を調節し、すべてを分類しつくした、完璧に整えられた広大な地下世界は、愛するに足り、そうしてそこでひっそりと「狂ふ」に足りる空間だった。
あーもう大学帰りてぇ、ほんっと大学帰りてぇ。
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