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----------2004年12月22日(水) 飛ぶのなんか怖くない

「オルガスムの何たるかを、チャタレイ夫人に身を変えたD・H・ロレンスから学んだ。彼からすべての女が「男根」−彼が奇妙に綴るそれ−を崇拝することを学んだ。シォオから女が決して芸術家になれないことを学んだ。ドストエフスキーから女が宗教的感情を一切もたないことを学んだ。スウィフトとポープからは女が宗教的感情をもちすぎる(それゆえに決して理性的になれない)ことを学んだ。フォークナーからは女は母なる大地であり、月と潮と実りと一体であることを学んだ。フロイトから学んだのは女の超自我には欠陥があり、女は永遠に「不完全」だということで、理由はこの世で所有するに値する一切のもの、すなわちペニスを欠いているからだった。」(エリカ・ジョング「飛ぶのが怖い」/新潮文庫)

そうして私は彼から女が単なる穴に過ぎないことを学んだ。

私の息が乱れるからといって声をあげるからといって征服したなんて思ったら大間違いだ、不恰好に足を広げられた姿はたしかに無様だけれど膝をついて目を閉じて懸命に腰を振るその姿を真っ黒な眼がふたつ、じっと見据えていることを常に覚えておいたほうが、いいよ。

皮膚組織の欠けた腕に本当はしり込みしているくせにその「男根」とやらを、「ペニス」とやらをコントロールできないなんて可哀想だね、そうそう、それから「男根」とやら、「ペニス」とやらはいまどき「バイブレーター」に簡単にとって変わられる、ってことも、覚えておいたほうが、いいよ。

飛ぶのが怖かったのは1973年の話で2004年、女はもう完全にジップレスファックの作法を学んでいる。いまだ幻想につきあってあげる優しい女も中にはいるだろうけれど、私は穴なのだからそんなことは期待しないで頂戴。