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----------2004年12月18日(土) 完全勝利。
「突然、彼が最近参照した書物の著者の名が、記憶に浮かんだ。ランベール、ラングロワ、ラルバレトリエ、ラステックス、ラヴェルニュ。私は忽然と悟った。独学者の方法を発見したのだ。彼は書物をアルファベット順に読んでいる。」(ジャン・ポール・サルトル「嘔吐」/人文書院)
違う、違う、違う、引用するところを間違えてる、「嘔吐」はもっと重要な著作であるはずだ、でもしかし。
突然、彼が最近参照したデータが記憶に浮かんだ。処理時間、処理人数、受付件数、待ち時間。私は忽然と悟った。独裁者の方法を発見したのだ。彼は人間を数字に置き換えて読んでいる。
なんて書き換えたくなったりもする、社員席の後ろに座らされた今日。
普段打ってる端末だけでは足りなくて非常事態用の端末があげられて私のように2台使う担当は皆社員席の近くに集められたのだけれど人がまあこれでもかこれでもかとおちてくる不備だらけの案件を前にホントウに汗水鼻水垂らしながらトップスピードで処理し続けるその横で独裁者は「もうねエマージェンシーですよ爆発してますよ1000件も溜まっちゃったりして1000件ですよ1000件・・・」
うっせ。
電話で喋ってるヒマがあったらてめぇも端末打ちやがれ。
1000件超えた1500件超えた超えた超えたと半ば嬉しそうにも響くその声に焦りの色はまったくなく関東の業績を上回っていることに優越感すら覚えているのだ、独裁者は。そうしてあたふたと「ホスト落とす時間延長してもらえますかね」と電話をかけてまた管理画面を覗き込む、しかし哀しいかなセンケンセンケンと吠え立てる独裁者には先見の明がなく、最終的に1800件に膨れ上がった滞留案件は女工たちの必死の働きによって8時過ぎにはあっさり処理され尽くしたのだった。
完全勝利。
ざまみろ。
中身を見ろ、行間を読め、そうして「実際」に触れてみろ、でなければ何もかもが虚しいだけだ、それこそ「嘔吐」の独学者のように。
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