ざわめいた10日間
先々週から先週初めのゴタゴタで、私は疲れていた。
やまとのデートで気分転換したかった。
屈託なく笑う時間が欲しかった。
まるで、他に気を逸らさずに、真っ向から立ち向かえと
言われたように、やまからデート延期のメール。

落ち込んだ気持ちをどうにか奮い立たせようと
自分で楽しめることを探し、それに没頭している間は
気が紛れてよかった。

だけど、彼とやり取りしていると、やはり苛立つし、焦った。
彼に見せないように話題を、それ以外にしても
いつのまにか戻ってしまっていた。
攻撃的になったし、彼に対してではなく
いつまでも駆け引きを続け、自分が不利にならないように
できるだけ多くの物を、彼から毟り取ろうとする姑息さが
鼻についた。

彼と軽い内容のメールをやり取りしている途中
 俺がいたら苦しい?
 いなかったら楽になる?
と、突然のメール。

たった2行で打ちのめされてしまう。
反射的に打ち返した。

 そんなこと、二度と言わないで。

彼がまたいなくなると、文字で問われただけで
深い闇の底に引きずり込まれそうな絶望を味わった。

 いないから苦しい。
 いなくなったら、私はどうなるかわかってない。

 もう言わない。
 ようも苦しいけど、俺も苦しい。
 俺が原因でようが苦しんでるのならって思ってしまう。
 もう言わない ごめんな。

私は彼の苦しみに気づかなかった。
のらりくらりかわしていた、以前の態度の再来だと思った。
自分の苦しみを、相手に対する攻撃と罵倒に置き換えた。
ただ、わめき散らすのではなく、相手の行動を
一つづつ槍玉に挙げ、鼻で笑い続けた。

彼との会話が終わると、相手に対する辛辣さだけが残り
夜明けまで眠らないでいた。

だけど彼は約束どおり、経過を伝えてくれ、気長に
私の気持ちをほぐしてくれ、今は落ち着きつつある。
問題を抱えているのは、彼だけでなく私も同様。
会社に行けば、寝込んだままの君がいて
菓子パンの残骸が転がり、使ったままのカップやグラス。
社内には、風邪の熱と残飯の悪臭が立ち込めていた。
毎朝それを片付け洗うことから、1日が始まった。
だらしなく澱んだ空気は、建物の構造上、
窓を開け放つことはできず、換気扇を回すことでしか
入れ替えることができない。

彼に出したメールの中で、彼に強い嫌悪感を与えて
しまった箇所があった。
やまに会ってほしくないけれど、それで私が少しでも
楽しく過ごせるなら行っておいでと彼が言ってくれていた。
何故やまに会うのか、その理由に、私は自分のバランスを
取るためだと書いた。
彼だけに気持ちを集中させると、私自身と彼を
追い込んでしまう。また同じことを繰り返したくない。

彼は以前、私がやまとの距離を保つために
別の男性と会ったことを覚えていた。
 ようは、またそんなことをするの?
 やまさんと会うのは、友達だからでしょう。
 バランスを取るなんて、言わないでほしい。
 俺がバランスを取りたいから、他の女性と会うよ
 と言ったら、どう思う?

自分の気持ちを持て余し、どうにか正当化させたくて
自分のことだけでいっぱいになっていたと反省した。
そんな10日間を過ごし、少し落ち着いた。

2005年02月23日(水)

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