チフネの日記
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| 2008年12月24日(水) |
2008年 リョーマ誕生日 小ネタ 千リョ |
「誕生日まで続いたら、奇跡だね」
何気なく言った彼の一言に、深く傷付いたのを覚えている。 誕生日はいつなの、と他愛の無い会話をして。 12月24日との回答に、 クリスマス・イヴだね、プレゼントは2つ用意するからね、と言った俺への返答がそれだった。 そこには悪意は無く、思ったことを口にしただけなんだとわかる。 わかるからこそ、悲しかった。 俺と付き合うことを承諾してくれたけど、長く続くなんて欠片も思っていないんだ。 そう考えると、胸がぎゅっと痛くなる。 どうしてだろう。 今までも、恋が長続きしてことなんて無い。 付き合っている女の子からも、「一ヶ月したら別れてるかもね」と似たようなこと言われたことだってある。 でも、彼の言葉は確実に俺の心を抉ってくれた。
だから、この時決意したんだ。 絶対、誕生日まで別れたりしない。 長続きするよう頑張ってみせるって。 彼、越前リョーマ君と付き合うことが出来たのは、俺の人生にとって最大のラッキーで。 それ以上の奇跡ってやつを起こしてみよう。そう思ったんだ。
「ケーキ、もう1個」 「はいはい。本当によく食べるね」 「うん。美味しいから」
12月24日、当日。 俺の部屋で、リョーマ君は美味しそうに2つ目のケーキを頬張っている。 さっき二人で買いに行ったものだ。 事前にリサーチしてたお勧めのお店で、リョーマ君に食べたいケーキを選んでもらって、 箱に詰めて俺の部屋で一緒に食べている。 俺の分は1個で、リョーマ君の分は4個。 全部食べられるの?とびっくりしたのだけれど、 「残ったら、持って帰るから」という返事。 さすがというか、食べたいものはその場でしっかりゲットか。リョーマ君らしい。 合わせてプレゼントに強請られたゲームのソフト2本を手渡すと、 リョーマ君は滅多に見せない笑顔をのぞかせて「ありがとう」と言った。 その表情に、きゅんとさせられる。
この日を迎えるまで色々なことがあった。 ケンカもしたし、やっぱり別々の学校ということで連絡が取れなくなることもあった。 リョーマ君がメールの返事さえ怠けるから……。 そんな苦労を乗り越えて、今日二人は一緒にいる。 ちょっと感動している自分に笑ってしまう。
「何笑ってんの」 口の端についたクリームを指でぐいっと舐めてから、リョーマ君が俺を見た。 「さっきから、なんかニタニタして気持ち悪い」 「ひっどいなー。これでも君の恋人だよ?」 「わかってるから、注意してるの。他の人に見られたら、何言われるかわかんないよ」 一応、俺のことを心配してくれてるらしかった。 相変わらず言い方は、素っ気無いけど。
「はー、わかった。ちょっと自重するよ」 「それで、何考えてそんな顔になってたの」 鋭い追及の声に、俺は一瞬迷ったがやっぱり言おうと思って口を開いた。 あの日から、ずっと気に掛かっていたことだ。
君が、俺との付き合いを一瞬で終わるような、そんな軽い風に思っていたかってこと。
「ねえ、リョーマ君。覚えていないかもしれないけどさ、付き合い始めた頃、君の誕生日を聞いた時、 どんな会話してたか、記憶にあるかな」 「無い」 「今、ちらっとも考えなかったね」 「だって覚えていないから。それで?」 「うん、誕生日を聞いた俺は『12月24日か、クリスマス・イブだね。プレゼント2つ用意するよ』って言ったんだ」 「へえ。たしかに今ここに2つ、揃ってるね」 「覚えていたから、約束を守ったんだ。 それでね、リョーマ君はそう言った俺になんて言ったと思う?あ、覚えていなかったか」 「何、気になるじゃん」
「『誕生日まで続いたら、奇跡だね』って言ったんだよ」
リョーマ君は口を閉じて、俺の方を見た。 その表情はいつもと変わらなくて、気持ちを読み取ることが出来ない。 謝罪か、軽口か、それともいつまでもそんなことを覚えている俺をバカにするか。 じっとリョーマ君の言葉を待つ。 しかし彼の口から出たのは、予想してたのとどれとも違った。
「あの頃は、どうせ付き合っても長続きしないって本気で思っていたからなー。 あんたはすぐ飽きるって、だから自然とそんな返事したんだよ。 色んな噂耳に入っていたからね。しょうがないでしょ」 「……はあ」 「俺の言葉に傷付いたっていうのなら、謝るよ」 「いいよ、もう。それに俺の今までの素行が胸張って言えないのも事実だから」 吹き込んだのはリョーマ君の先輩達なんだろうなと想像がつく。 大事な後輩が俺みたいのに引っ掛かってかなり怒っていたから、 あること無いこと言っても、不思議は無い。
「でもさ、じゃあ今千石さんが俺と一緒にいるのは、あの時の言葉があるから? 今日まで別れないように意地になっていたとかじゃないよね?」 「当たり前だろ!」 声を上げる。 「その時は長続きさせてやろうと意地になっていた部分も無いとは言えないよ。 でも、今は違う。 今日が終わっても、リョーマ君と一緒にいたい。 来年もその先も。奇跡はずっと続くんだよ」 「そう。良かった」
リョーマ君は微笑んだ後、机に置いた俺の手に自分の手を重ねてきた。
「俺も同じ。でなきゃ今、ここにはいないよ。 それに俺達が一緒にいられるのは、奇跡みたいなものじゃなくて、 選んだ意思がそうさせてるんじゃない? 気持ちさえあればずっと続くことが出来る。ずっとね」 「うん」
付き合い始めた頃のリョーマ君はクールで、俺の方を向かせるのも大変だったけど。 今はこれだけの気持ちを見せてくれる。 お互い好きだってわかりあえる。
積み重なった絆は、奇跡なんかよりずっと強いものなんかじゃないか。 だからまた気持ちを重ねる為に、 「好きだよ、リョーマ君」と今感じたことを俺は口に出した。
終わり
チフネ

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