チフネの日記
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2004年08月03日(火) 盲目の王子様 3 跡部景吾

なんなんだ、あの生意気なガキは!

遅れて部活にやって来た跡部を、周囲は不思議そうに目を向け、
そしてすぐに逸らした。

不機嫌。

何があったかはわからないが、顔にそう書いてある。

今日は、近付かない方が良さそうだ。
皆、頷き合って判断する。

「全員、素振り千回だ!」

・・・・・近付かなくても、これだ。
諦めるように、皆ラケットを握り始めた。

「えらい荒れてるなあ。何があったん?」
横暴な跡部の言葉に慣れっこな忍足が、のんびりと口を開く。
「部の強化だ」
「嘘つけ。もう少しましな八つ当たりの仕方したらどうや?」
「忍足。お前は二千回だ」
「ちょお!待ってや!」
焦った声を出す忍足を振り向きもせず、跡部は一人コートへ立った。
籠を手に取り、一つ一つサーブを打ち込んでいく。

(越前リョーマ)

あんなムカツク口の利き方をする一年がいて許されるはずもない。

'入学出来たのは、榊先生のおかげらしい’
盲目の新入生は、たった一日で氷帝の有名人となった。
理事長か職員の誰かと親しい親達から洩れたのか、
噂は学園中で囁かれている。
どうやら榊は相当強引な手を使って、リョーマを入学させたようだ。
他の職員の反対を押し切って、とまで生徒達に伝わる有様だ。
(最も、どこまでが本当なのかわからないけどな)
噂はともかくとして、榊の推薦があったのは間違いない。
春休みに、榊があの少年を連れていたのを跡部は見ていたのだから。

一体、どういう意図があって越前リョーマを氷帝に入学させたのか。
少しばかり、跡部も興味があった。

実力主義で、負けた選手は切り捨てる。
生徒の気持ちなど考えたことのなさそうな、あの監督が、
メリットも無く動くだろうか。

'隠し子かもしれないぜ’
噂の中にはそんな笑えるものも混じっていた。
たしかに年齢的にはありえそうだが、それは違うと考えてよいだろう。
なにか、ある。
あの少年を呼び寄せる理由があるはずだ。

そんな事を考えてた跡部の前に、
偶然にも越前リョーマと、彼の担任らしい教師が一緒に歩いているところへ遭遇した。
家へ帰るところか?
靴を履き替え、担任に付き添われながら、盲目の少年はゆっくりと校門へと歩いていく。
一人になったところで、ちょっと話をしてみるか。
そう思って、二人の後をつけてみることにしたのだが・・・・。

(不愉快にさせられただけだ)
生意気なリョーマの口調を思い出し、跡部は眉を寄せた。
(このままで済まして、たまるか)
一年生如きに舐められて、このまま引き下がるつもりはない。
監督の関係者かは知らないが、非礼な態度をきっちり謝罪させてやろうと跡部は考えてた。

「跡部・・・素振り終わったで」
「なら、ランニングして来い。100周だな」
「テニスさせろや!」
「200周だ」
「お前な・・・」

忍足はまだ何か文句言っていたが、
「これ以上走らされるようなこと、言うなよ」と、向日に引っ張られて行った。

そうだ。お前らは黙って、従っていれば良い。
常に頂点にいる俺様に、平伏すのは当たり前のことだ。
越前リョーマ。
お前も例外じゃない。
必ず自分が格下だと認めさせてやるからな。


チフネ