チフネの日記
DiaryINDEXpastwill


2004年07月21日(水) 天使不二と王子 48

気が付くと、僕は真っ暗な空間に漂っていた。
目を凝らしても、闇しかない。
ここがどこなのかは知らないが、出られる可能性は無いだろうと考える。

(消滅するまで、このままか)

一瞬で消してしまうよりも、より長く苦痛を与えることが決まったようだ。

好きにしろと、僕は思った。
やるべき事は成し遂げた。
もうそれだけで、満足だ。

(越前・・・)

おそらく彼の記憶から、僕のことは消されているだろう。
越前だけじゃなく、不二周助と関わった人間は全て。
元々天に帰る時も、僕の存在は消えるものだった。

だから、これも仕方ない。
彼に覚えていてもらえなくても。

越前リョーマが生きてくれるのなら、それでいい。





’だがその所為で、お前は永遠にそこから出られない’


不意に、心へ直接声が語られた。
ここへ閉じ込めた連中の誰かだろう。
驚くことなく、冷静に答える。

「でも彼の命を救うことは出来た。
僕はもう他に望むことはありません。
禁を破った罪も認めめて、罰も受け止めます」

‘この先未来も無く、独りで彷徨っても良いのか?
あの少年はお前のことを忘れる。そして他の人間の手を取って、生きて行くだろう’

「構いません。
この先二度と会えなくても、僕以外を選んでもいい。
もうとっくに覚悟していたことです」

’例え自分の体がバラバラにされたとしてもか?’

「はい」

いっその事、そうして欲しい。
この先意識が存在しても、辛いだけだ。
ここには、彼がいない。
幸せになれるか見届けることも、出来ない。


‘ならば、仕方ない。罰を受けると良い’

「はい」

越前と、最後にもう一度心の中で呟く。

消える直前に彼を思い切り抱きしめることが出来て、良かった。
体温、香り、泣きそうな顔も、
そしていつか見た笑顔も。



ずっと忘れない。


チフネ