チフネの日記
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2004年06月11日(金) 天使不二と王子 11

試合に勝ったというのに、越前も桃も正座をさせられてしまった。
「お前が譲らないから、こういうことになるんだよ!」
「桃先輩だってこっちのコートに入って来たじゃないっすか!」
「やめんか!」
竜崎先生の声に、慌てて二人は口を噤む。

勝算がある試合って、こういうことだったんだ?
手塚の顔をちらっと見ると、なんだか疲れているようだった。
さすがの部長もあんなちぐはぐなダブルスをするとは思っていなかったらしい。
全く、型に嵌らないにもほどがある。

「リョーマは次の試合、補欠にする」
「なんで俺が」
「ぷぷっ、黙って俺達の応援していろよ」
「桃城はその次の試合、補欠だ」
「ええ!?そりゃ無いっすよ」
「応援、よ・ろ・し・く」
「いちいち可愛くねーな!可愛くねーよ!」
「そっちが先に応援しろって言ったくせに」
「なんだと!」
「また正座させられたいようだね」
「「スミマセン」」
二人のやり取りを見て、英二は盛大に笑い、皆もつられて笑った。

「手塚?」
そんな中、どこかへ行こうとしている手塚が目に入り、僕は思わず声を掛けた。
「どこか、行くの」
「柿ノ木中の試合を見てくるだけだ」
「へぇ」
手塚が敵情視察なんて、珍しい。
そう思って後ろからついて行くと、「なんだ?」と手塚が首だけ振り返った。
「僕も見ておこうかなと思ってね。一緒に行ってもいいだろ?」
「好きにしろ」
素っ気無く、前を歩いていく。
やや足を速めて、僕は手塚の隣に並んだ。
「しかしあの二人には驚かされたよね」
僕の言葉に、ぴくっと手塚の眉が動いた。
「手塚は、ああなることを知っていた?」
「知るわけがないだろう」
知っていたら止めたという口振りだ。
「もう越前にはダブルスはさせない方がいいんじゃないかな」
「俺がどうこう言うよりも、竜崎先生が反対するだろう。全く、あいつらときたら・・」
おや、と僕は手塚の横顔を見た。
咎めているような言葉だけど、本気で怒っているようには聞こえなかったからだ。
手を焼かされるけど、そんな越前が可愛くて仕方ないとでも言っているみたいな。
なんだか僕の方が照れてしまう。

二年以上も一緒にいて、こんな手塚は初めてだ。
無言でじろじろ眺めていたら、「何かついているか?」と手塚は居心地悪そうに聞いてきた。
「別に何も」
「そうか・・?」
「うん、気にすることないよ」

手塚の魂の色は恋を知ってもキレイだなって、思っていただけだよ。


チフネ