チフネの日記
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斜め前に座っている越前は、ハンバーガーに被りつきながら時々僕の方をちらちら見ていた。 「―――で、おチビ聞いてる?」 「は!?えっと何だっけ」 「・・・俺の話なんかどうでもいいんだ」 いじけた話し方をした英二に、越前は困ってしまったようだ。 「誰もそんな事言ってないっす」 「じゃあ、さっき何の話をしてたか言える?」 「えっと、それは・・・」 「ほら、やっぱり!」 おチビが冷たいーとまた英二は騒ぐ。 越前が話を聞いてなかったのは、僕の方に気を取られていたからだろう。 そういう僕も越前のことを観察していて、英二の話はちっとも聞いていなかったのだけど。 「俺は悲しい・・・。こんなにもおチビのことを可愛がっているのに」 まぁまぁと桃が宥めても効果はないようだ。 越前はどう声を掛けたら良いか戸惑っているかのようだ。 その顔がなんだか可愛らしく見えて、僕は思わずくすっと小さく笑ってしまった。 「何すか」 どうやら聞こえていたらしい。 ハッキリ睨みつけている越前に、「なんでも無いよ」と肩を竦めてみせた。 「英二、お店の中だから少し静かにね。 越前だって別に英二の事を嫌いって訳じゃないんだから。 ただ、ちょっと食べる方に集中していただけだよね?」 「別に、俺はっ」 がたっと席を立ちかける越前に、英二も桃もどうした?って顔を向けた。 「・・・・・・スミマセン」 越前は二人の視線に気付いて、また椅子に座り直した。 「あー、その」 静かになった座を取り直すように、英二はぽんと手を叩く。 「おチビ、そんなにお腹減ってんのならナゲット一個あげる」 「・・・ども」 英二が差し出した箱に越前は手を伸ばし、ナゲットを一つ取り出した。 「食べ終わったら話聞いてくれる?」 「うっす」 頷いて、むしゃむしゃナゲットを頬張る。 英二も桃もほっとして、自分の分に手を伸ばす。 また越前はちらっとこちらを見て、英二の方へ顔を向けた。 それ以降、越前は僕に視線を向けることはなかった。
「英二は越前のこと、気に入っているね」 桃の自転車に乗って帰る越前の後姿を見送って、 僕と英二は家へと歩き出した。 「だって小さくて可愛いじゃん。ちょっと生意気だけどさー。 懐かせたら嬉しいよね、きっと」 「野生動物扱い?」 「あはは、近いかも。手のかかる弟みたいなもんかな」 「ふぅん」 そういえば英二は末っ子であることを、何度も愚痴っていた。 弟か妹が欲しいとも。 「不二は?おチビをどう思う?」 「僕は・・・わからないな」 「何それ」 うーんと、英二は首を捻る。 「おチビって不二に関してはなんか変なんだよねー。 おかしなこと聞いてきたり」 「おかしなこと?」 「うん。不二が嘘をつくかどうかって」 あの時のことだと、気付く。 鳩の怪我を治したことを、最初から怪我していないと主張した。 「不二っておチビに何吹き込んだの?」 「人聞きが悪いな、僕は別に何もしてない」 「そうかあ?」 まだ疑っている英二の視線を無視して、少し足を速める。 不謹慎かもしれないけど、越前に関心を持たれているのは悪くない気分だ。 本当に面白い存在だね・・・・
「あの人ってなんでいつもニヤニヤしてんの」 「なんだ、お前急に」 「前から、あんな感じ?」 「人の話聞けよ。何言ってんだ」 「だから不二先輩」 「ニヤニヤしてるとか本人の前で言うなよ」 「で、どうなの?」 「・・・俺が入学した時も今と同じ感じだったな」 「ふぅん」 「不二先輩と何かあったのかよ?さっきから変だぞ」 「別に」 ただ見透かすような視線がうざいだけ。
チフネ

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