ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2026年01月26日(月) 豚もおだてりゃ木に登る

氷点下の朝。山里は平野部よりも気温が低く凍りつくような寒さであった。

放射冷却だったのだろう日中は嘘のように暖かくなる。

北国や日本海側は記録的な大雪とのこと。

屋根の雪下ろしをしていて亡くなった方もいる。

夏は猛暑。冬は大雪と自然の猛威は容赦なく襲って来るのだった。

幸い高知県西部はまだ積雪がないが数年前には3月に大雪が降ったことがある。

「ホワイトアウト」を初めて経験した時の恐怖が忘れられない。

大寒波は一時弱まるようだが直ぐにまた次の寒波が襲ってくるそうだ。

雪国の人達の暮らしを思うと何とも気の毒でならない。

もしいち早く春が訪れても手放しで喜ぶことが出来ようか。



仕事は朝から来客が多くあたふたと忙しい。

例の散髪屋さんもやって来たが世間話も出来なかった。

定休日で暇を弄んでいたようだが「忙しいけんごめんよ」と断る。

何だか追い返したようで心苦しかったが仕方あるまい。

その後も続々と来客があり対応に追われていた。


義父も事務所に待機していたが農業関係の事務仕事をしていた。

もう農薬や肥料を注文しなければならず頭を悩ませているようだった。

百万単位でお金が飛んで行く。米作りの経費は半端ではなかった。

これでお米の価格が下がればまた大赤字になってしまう。

お国は消費者のことばかりで生産者は蚊帳の外である。


午後にも来客があったが義父に任せて定時で帰路に就いた。

帰り道に平田町のお客さんに車検証を届けに行ったら

奥さんが「ちょっと待って」と畑から大根を引いて来てくれる。

大きくて立派な大根であった。助手席に積み込み上機嫌で帰った。


3時を少し過ぎていたがカーブスへ行きたくてならない。

すっかり顔なじみになったお仲間さんの顔が目に浮かぶ。

私の姿を見るなり笑顔で手を挙げてくれて嬉しかった。

おまけに「偉いねえ、頑張るねえ」と褒めてくれるのだった。

「豚もおだてりゃ木に登る」とは私のことであろう。

いつも以上に頑張り心地よく汗を流した。


買い物を済ませ4時過ぎに帰宅したが娘の姿が見えない。

夫が云うには今朝仕事に行ったきり帰って来ていないのだそうだ。

仕事が忙しく残業になったのかもしれないがそれにしても遅い。

洗濯物を畳みながら夕飯の支度のことを案じていた。


5時を少し過ぎてからやっと帰って来た。

娘婿の通院日で窪川の病院へ行っていたのだそうだ。

それならそうとどうして一言告げてくれなかったのだろう。

「またか」と思い娘に文句も云えなかった。

娘が付き添わなければいけないほど悪化しているのなら

どんな容態なのか少しでも教えて欲しいと思う。

しかしそれも「干渉」になるのなら口を噤むしかなかった。

娘婿は今夜も平然と「しらすうなぎ漁」に出掛けて行く。



今朝もこれまで出会ったお遍路さんの詩を書いた。

職業遍路ではなく修行僧のKさんのことである。

お大師堂で初めて会った日の姿が目に焼き付いていた。

あれほど孤独であれほど生気を失くした人がいただろうか。

初めての托鉢は我が家であった。

土手に真っ白く霜の降りた冷たい冬の朝のことである。

パーキンソン病を患っていた姑さんが杖を付きながら歩いて来た。

その姿を見て何があっても「歩く」ことを諦めてはいけないと

強く心に誓ったのだそうだ。


よほど縁が深かったのだろうその後も何度も再会をする。

最後に会った時には「おばあちゃんに会いたい」と

畑仕事をしていた姑さんに会いに行った。

「おばあちゃん元気に長生きしてね」それが最後の言葉になった。


その三日後、Kさんは足摺岬で自らの命を絶った。

火葬場でKさんの遺骨を拾う。

それは真っ白くて逞しい「いのち」の結晶に思えた。


※以下今朝の詩


   修行僧

旅人は薄暗いお堂の中で
膝を抱えて蹲っていた

どうしたらいいのか
わからなくなった

もう歩く気力もなく
絶望しかないと云う

僧になるための修行で
京都のお寺を出立した
僅かな金子を与えられ
托鉢をしろと云われた

しかし托鉢が出来ない
金子はとうとう底を尽き
何も食べることが出来ない

泣く事しか出来なかった
涙を呑んで生きるしかない

死んだほうがましだと
何度思ったことだろう

これが修行なのか
こんなものが修行なのか
いのちの息が掠れていく

お堂の傍らには大河が流れ
せせらぎの音が耳に優しい
身を投げるにはあまりにも
尊い流れに思えてならない

大河の流れは海に辿り着く
その海を見届けようと思う

立ち上がれば明日が見えた
そうして一歩を踏み出して行く


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