穏やかな晴天。夕方から少し肌寒くなった。
北海道の平野部ではとうとう初雪が降ったそうだ。
一年の半分が冬なのではないだろうか。
それに比べると南国土佐のなんと恵まれていることだろう。
少しくらいの寒さで嘆いてはいけないとつくづく思う。
オリーブ色だった栴檀の実が黄金色に変わる頃。
青空に映えてきらきらと輝いているように見える。
見上げていると空に吸い込まれそうになった。
私の実はどんな色かたちをしているのだろう。
どれほど老いてもその実に誇りを持ち続けていたいと思う。

娘婿の38歳の誕生日。今夜はささやかにお祝いをする。
街中のお肉屋さんに行ってハラミとホルモンを買って来た。
お肉屋さんの隣が酒屋さんで赤ワインも買う。
貧乏所帯ではあるけれど家族の誕生日には奮発をするのが習いだった。
家族揃って夕食を食べるのはほんとうに久しぶりのこと。
わいわいと賑やかでとても幸せな気分になった。
いつもは無口な娘婿も今夜は饒舌になり楽しくてならない。
上機嫌でワインを飲み干し笑顔をいっぱい振舞ってくれる。
ちょうど一月後には私の誕生日だけれど
毎年のことで特別なことはしないことにしている。
もちろんご馳走もなければワインもない。
別にいじけているのではないけれどそういう性分なのだろう。
そのくせ心では期待し思いがけないことを待っている。
娘がケーキを買って来てくれるかもしれないとか
娘婿がワインを買って来てくれるかもしれないとか。
今年はどうだろうか。自己申告しなければ皆が私の誕生日を忘れている。
そうして私は感傷に浸るのだった。自分が可哀想でならなくなるのだ。
そういうのが好きなのだから困った性分である。
亡き父は毎年必ず電話をかけてきてくれた。
実に香と書いて「実香」という私の名は
きっと父が名付けてくれたのだろうと信じている。
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