朝は肌寒く日中はほぼ真夏日となる。
そんな夏の名残もあとわずかのようだ。
今はまさに季節の変わり目と云って良いだろう。
私はぽつねんと佇んでいる。
背中を押されたくはない。手を引かれたくもなかった。
職場の庭の片隅に秋桜が咲き始める。
昔はそれは沢山咲いたけれど今はほんのわずかである。
母を恨む気持ちはないが母のせいだと思っている。
いつだったか花が終わった頃に「汚い」と言って
根こそぎ引き抜いてしまったのだった。
母はそんな人だったのだろうか今はとても信じられない。
その証拠に母が育てていた季節ごとの花が今も咲き続けている。

今朝は職場に着くなり「みい太」が鳴きながら擦り寄って来た。
餌は毎朝義父が与えており空腹とは思えない。
かと言って私に甘える程には懐いていないのだった。
「お仕事するよ」と言ったら工場の車の下に潜り込んでしまった。
昼間、義父が「おう!」と声を上げるので何事かと思ったら
庭に数匹の子猫がよちよちと歩いている。
それはもちろんとても可愛らしかったけれど
一瞬どうしようと思うほど複雑な気持ちになってしまった。
父猫はみい太に違いない。母猫は黒い猫で時々姿が見えていた。
けれども餌を与えられているのはみい太だけなのだった。
子猫たちはまだ生まれて間もなく母猫のお乳だけが頼りだろう。
母猫もしっかりと食べなければお乳も出なくなるのではないか。
そんな心配が頭を過る。小さな命が不安でならなかった。
義父も元々の飼い主のKちゃんも黒猫には餌はやらないと言う。
心を鬼にしている気持ちは分かるけれどあまりにも残酷なこと。
みい太の家族を見殺しにするのだろうかと思った。
義父曰く。自然界の掟に沿うしかないのだそうだ。
野良猫には野良猫の生きる術がきっとあるのだろう。
情けをかけることは猫のためにならないと云うことだと思う。
みい太はあっけらかんとしている。
おそらくまだ父猫の自覚もないのかもしれない。
一日中工場に居て今日も看板猫を務めていた。
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