猛暑日の一歩手前、厳しい残暑であったけれど風は爽やかだった。
空がなんとなく高く感じる。今日は飛行機雲を仰いだ。
機体がきらきらと光っていてとても綺麗で感動する。
乗客はもっと感動したことだろう。見渡す限りの青い空である。
昨夜はどうしたことか夢見が悪く午前二時から眠れずにいた。
そんなことは滅多になく酷く途惑ってしまう。
姑さんが夢の中で死んでしまったのだ。
もうすでに亡くなっているのだから夢に違いないのだけれど
妙にリアルで緊迫感があった。大変なことになったと思った。
家の前に黒塗りの霊柩車が停まっていてなんと不気味なこと。
遺体は見えない。ただ死んだ事実だけが追い詰めるように迫って来る。
私は何故か素っ裸だった。喪服を着なければと焦っていたようだ。
家族の姿も見えない。いったいみんな何処に行ってしまったのだろう。
そこではっと目が覚めたのだけれど汗びっしょりになっていた。
隣の布団ではじいちゃんが寝息を立てている。なんと平和な現実か。
もう大丈夫。4時まで眠ろうとしたがどうしても眠れなかった。
夜が明けてから娘に夢の話をしたら笑い飛ばすどころか
真剣な顔をして「お祖母ちゃんまだ居るんじゃないの」と言う。
お盆に帰ってからそのまま天国に帰らずに居るのかもしれないと。
そう言った直後、娘が悲鳴をあげて背中の痛みを訴える。
「やばいよ、なんか急に背中が重くなった」と叫ぶのだった。
とにかくお祓いをしなければ。お経を唱えつつ娘の背中を擦った。
心当たりが無い訳でもない。お盆に疎かにしていたことがある。
今年は般若心経を唱えなかったのだ。自分でもそれが心残りであり
生前から私のお経を頼りにしてくれていた姑の顔が目に浮かぶ。
きっとずっとそれを待ち続けてくれていたのではないだろうか。
今からでも遅くはない。とにかく自分の役目を果たしたい。
仕事を終えて帰宅するなり義妹宅に行き仏壇に手を合わせていた。
遺影に声を掛けるように般若心経を唱えることが出来る。
姑さんの声は聴こえないけれど遺影の笑顔に救われるようだった。
思わず「もう死なんとってね」と呟いていた。
私は普通の人より少しばかり霊感が強いようだった。
母譲りでもありそれは娘にも遺伝している。
霊の存在も信じているし死後の世界も信じている。
魂は不滅なのだ。そうして輪廻転生を繰り返すのだと思っている。
それなのに死ぬのが怖い。まだまだ修行が足らないのであろうか。
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