梅雨らしい蒸し暑さが続いている。
とうとう根負けして冷房のスイッチを入れてしまった。
事務所に商工会のK君がやって来て「おお、ここは涼しいね」と
どうやら辛抱していたのは私だけではなかったようだ。
零細企業の根性とやらも意外と脆いものである。
職場の庭のヤマモモの実が色づきそろそろ食べ頃になった。
ずいぶんと昔に母が植えた木らしくかなり大きな木になっている。
どれ初物を一粒と手を伸ばしても残念ながら手が届かない。
仕方なく地面に落ちている実を拾って食べてしまった。
こう云うのを「いやしん坊」と言うのだけれど
その実は思いがけずに甘く癖になるような美味しさだった。
ふとヤマモモの木の隣を見ると合歓(ネム)の木の花も咲いていた。
まるで天使が羽根を休めているような可憐な花である。
ああ母に見せてやりたいものだと娘らしいことを思う。
薄情なふりをしているだけで根は優しいのかもしれない。
仕事は午後から忙しくなり2時間近く残業となる。
活気があってよろしいのではないかと思い自ずと生き生きとしてくる。
私はそんな自分が好きでならない。そう自分に惚れるのである。
自分を嫌いになることはまずない。自己嫌悪とは無縁でありたいのだ。
ひとは自分を愛してこそまわりの人を愛せるのらしい。
昔読んだ自己啓発の本にそう書いてあった。
欝々と悲観ばかりしていたその頃に私は救われたのであろう。
ずいぶんと成長したものだ。私もまんざらではないらしい。
かと云って決して自信満々ではないのだけれど
自信に溢れている人は見苦しいと感じることが多い。
そんな人はもう努力をしない。名声や誇りにすでに満たされている。
自分が頂点なのだから立ち向かうこともあるまい。
可哀想な人だなと私などは思うのだけれどどうなのだろう。
私は不安で心細い。この先の命の保障もない。
突然訪れるかもしれない死に覚悟することも出来ないでいる。
だからいつもじたばたしている。無我夢中で生きているのだろう。
そんな私だけれど愛に満たされこの上ない程に幸せであった。
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