5月もとうとう晦日。あっという間に日々が流れた。
なんだか春の日に忘れ物をしたような気がする。
もう初夏と思えば尚更のことで引き返すことは出来ないけれど
背中を押されるようにまた歩み出して行かなければならない。
生きて在ればこそと思う。私にもきっと未来があるだろう。
息子が準夜勤のため下校時からけい君を預かっている。
10時には仕事を終えるけれど夕飯やお風呂や
さすがにマンションへ独りで置いておくわけにはいかない。
夜中に連れて帰るのも可哀想で今夜は我が家に泊まることになった。
臨機応変にと思う。また独りで夜を明かす日もあるだろう。
今日は気のせいかもしれないけれどなんとなく大人びた様子。
日に日に成長しているのだなと感慨深く思った。
「もう2、3年だな」とじいちゃんが呟く。
祖父母に頼ることもなくなり少年として「自立」するかもしれない。
それはそれで寂しいけれどきっと逞しくなることだろう。
私達はそんなけい君をあたたかく見守ってやらなければいけない。
過去を辿れば私も少女として「自立」していたのだと思う。
大人に頼ることもせず泣き言も言わなかった。
母親が居ない現実をしっかりと受け止めていたし
まして母に会いたいなどとはつゆとも思ってなどいなかった。
それほどの強い精神力があったのかはさだかではないけれど
「おかげさま」で少女から大人になれたのかもしれない。
青春時代の傷も今思えば勲章のように感じられる。
取り返しのつかない罪も「覚悟」として胸に刻み込んでいる。
あとは与えられたいのちを全うするだけではないだろうか。
けい君の未来にこの先何が待っているのか知る由もないけれど
彼はきっとどんな困難も乗り越えるのではないだろうか。
傷つくこともあるだろう。寂しくてたまらない日も。
それでも歯を食いしばって未来の自分に会いに行くのに違いない。
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