爽やかな晴天。すでに風薫る五月のようであった。
駆け抜けたような四月もとうとう晦日を迎える。
待ち切れずにカレンダーを捲れば鯉のぼりが空を泳いでいた。
じいちゃんの寝汗が酷く敷き布団を干そうとしていたけれど
あまりにみすぼらしい有り様で捨てることに決める。
新しい布団を買う経済的ゆとりもなくて
確かあったはずと押入れを探していたら新品の布団があった。
それは40年以上も昔の私の嫁入り道具だった。
今の布団のように軽量ではなくずっしりと重い。
けれども総綿のぬくもりを感じられとても貴重に思う。
赤く派手な柄もシーツを被せれば大丈夫だろう。
さっそく干しておひさまの恩恵でふかふかになった。
新しい布団というものはなんだかわくわくするものだ。
寝心地もきっと良いだろう。じいちゃんもきっと喜んでくれると思う。
それにしても40年以上もの歳月を押入れの中で眠っていたのかと。
憐れにも思い感慨深くも思う。やっと日の目を見る時が来たのだ。
「生きているうちに」それを叶えてあげられて良かったなと思う。
嫁入り道具の殆どを断捨離してしまったけれど
そうすることで人生の「けじめ」をつけてきたのかもしれない。
母や義父が苦労して揃えたくれた物を惜しげもなく捨てて来た。
不思議と未練はなくむしろ潔い決断だったと思っている。
どんなに古い布団でもそれは新鮮になり得る。
おそらく一生ものとして我が家に残ることだろう。
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