曇り空ではあったけれど春らしいやわらかな陽射し。
空のぬくもりを羽織ったように過ごす。
職場の庭には母が育てていた藤の花が咲いていた。
今日まで気づかずにいてつい「ごめんなさいね」と声をかける。
あたりには枯草が生い茂りまだ冬の名残りが感じられ
やがてそれも緑になるだろうと初夏に想いを馳せていた。
背を丸めて草引きをしていた母の姿が偲ばれる。
荒れ果てた庭を見たらどんなにか嘆くことだろうか。
仕事が忙しく一時間の残業となる。
先日の車庫証明を取り付けたお客さんの車検証が届き
やっと今日が納車となり感激で胸がいっぱいになった。
中古車なので同僚が綺麗に洗車をして仕上げてくれる。
実は曰くつきの車でとあるお客さんの遺品でもあった。
東京に住んでいる娘さんに連絡したらとても喜んでくれて
解体処分にするにはあまりにも忍びなかったと言う。
今後も大切に末永く乗り継いでくれることだろう。
それが少しでも供養になればと思わずにいられなかった。
帰宅したらけい君、あやちゃんとめいちゃんが勢ぞろい。
あやちゃんとめいちゃんは今日が家庭訪問だったようだ。
娘が玄関や茶の間を綺麗に掃除してくれていた。
家庭訪問は無事に終わったようだったけれど
けい君は今年もどうやらパスしたらしい。
学校側がそれをすでに容認してくれている事は有り難いと思う。
それぞれの家庭の事情がある。強引に踏み込むことは避けて欲しい。
夕食後、仕事を終えた息子が迎えに来て笑顔で帰って行く。
息子には夕食を食べさせてあげられなかった。
遠慮しているのが感じられ胸が締め付けられるように辛かった。
「腹減った」その一言をどんなに待っていたことだろう。
もう決して若いとは言えない息子の後ろ姿に哀愁が漂っていた。
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