大気が不安定との予報に反して思いがけずに青空が広がる。
気温も26℃まで上がりすっかり初夏の陽気となった。
遅咲きの桜はまだ咲き誇っており躑躅や藤の花も見られるようになる。
冬枯れていた銀杏の木にも鮮やかな若葉が萌え始めている。
朝の国道では数人のお遍路さんを見かけたのだけれど
山道に入り峠を越え山里の県道を走っていたら
見覚えのある後ろ姿はやはりMさんであった。
前回は2月14日だったのでほぼ2ヵ月ぶりの再会となる。
車を停めたらすぐに走り寄って来てしばしのドライブだった。
もう百巡以上しているMさんは車のお接待を快く受け
時には公共交通を利用する時もあるのだそうだ。
決して無理をせず臨機応変でなければ職業遍路は続かないだろう。
4月2日に無事に初孫が誕生したとのこと。
元気な女の子だそうで嬉しくてならないと目を輝かせていた。
「なんかすごい励みになってさあ」と声も弾んでいた。
娘さんやお孫さんにどんなにか会いたいことだろう。
山梨に帰ろうと思えば不可能ではないはずなのだけれど
頑なにお遍路に拘っている強い意志を垣間見たような気がする。
いったい何がMさんを動かしているのか知る由もなかった。
職業遍路は終わりなき旅にも等しい。
Mさんには大きな覚悟があり四国に骨を埋めるつもりなのかもしれない。
「おかあさんまた会おうね」重そうなリュックを背負うと
Mさんは笑顔で手を挙げながら葉桜の道を遠ざかって行った。
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