ずいぶんと日が長くなり外はいま黄昏時である。
西の空をほうずき色に染めて陽が沈もうとしているところだった。
室温が25℃もあり窓を開け放しているのだけれど
風はそよとも吹かずお風呂上がりの火照った身体に汗がにじんでいる。
今日は田植えの準備をしている義父のもとに工具を届けに行ったら
水を張られた田んぼに白鷺が二羽もいてとても綺麗だった。
人慣れしているのか飛び立つ様子もなく寄り添っているように見えた。
それから農機具の上には雨蛙さんがいてそれも可愛らしかった。
まるで義父の助手であるかのようにちょこんと座っているのだった。
それを見た義父がにっこりと笑ったのが私はとても嬉しかった。
稲作の知識には疎く父のしている農作業の事がよく分からない。
「シロ掻き」と言うのだろうか、田植え前の大切な作業らしい。
それをしないと稲の苗を植えても雑草がはびこるのだそうだ。
私は水が張られたらすぐに田植えと思い込んでいた。
工場の仕事は繁忙期の峠を越え同僚一人でなんとかなっている。
その同僚も稲作をしており休日返上で農作業に追われているらしい。
今朝も出勤前に一仕事して来たのだと少し疲れているようだった。
私は職場では「段取り課長」と呼ばれており段取りばかり。
その上に「金庫番」もしているけれど少しも苦に思ったことはない。
むしろ遣り甲斐を感じることが多く活き活きと仕事をしている。
する仕事のあることは本当に有難いことだと思うのだった。
このところ土曜日も出勤しておりより一層遣り甲斐を感じている。
それが充実でなくてなんだろう。やったらやっただけのことがあるのだ。
難破船のようだった職場も今は海洋に乗り出している。
遭難して沈没させるわけにはいかないのだ。
「段取り課長」は舵を握れないけれど航路を示すことは出来る。
行きつく先は何処かの港だろうか、それとも島だろうか。
遥かな大海原を見つめながら明日も航海を続けよう。
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