春うらら。日中はずいぶんと暖かくなる。
白木蓮の蕾がふっくらとふくらむ。
今日よりも明日と純白の花を咲かせることだろう。
母の施設から今日も電話があり今度は腹痛とのこと。
食事も摂れなくなり点滴を始める旨の連絡があった。
正直言って何が何なのか訳が分からず途惑うばかりである。
医師にも原因が分からないとのことであまりに酷くなれば
県立病院へ救急搬送されるかもしれない。
電話が鳴るたびに病院からではないかとびくびくしている。
私が薄情である証拠に母に振り回されたくはないと言う気持ちが大きい。
やはり世間一般の母娘とは違うのだろうと思う。
少女期に受けた傷が未だに尾を引いているのかもしれない。
あれこれと考えていると自己嫌悪になってしまいそうだった。
人並みに娘らしくありたいけれど本心は醜く歪んでいるようだ。
かと言って心配は尽きない。大事に至らない事を祈ってもいる。
とても複雑な気持ちではあるけれどこれも試練なのだろうか。
もし真夜中に電話があれば義父に任せるべきだとじいちゃんが言う。
その言葉に救われたような気持ちになった。
やはりささやかな距離が必要なのだろう。まるで第三者であるかのように。
血の繋がった娘ではあるけれど家族ではないのだと思っている。
家族だったのは遠い昔のことで母はあくまでも去った人に他ならない。
心を鬼にするのはとても切ないけれど
まさに鬼が宿っているかのように私の心は厳しく彷徨い続けている。
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