やはり風は冷たく。それでいてたっぷりの陽射しが降り注ぐ。
2月も残り少なくなり弥生三月を心待ちにしている。
もう冬だとは言わせない。早春に思いを馳せるばかりであった。
今朝は登校間際になりあやちゃんが「行きたくない」と言い出す。
理由を訊けば髪型が気に入らないとのこと。
昨夜はあんなに喜んでいたのにどうしたことだろうか。
友達の反応が気になっていたのか照れくさかったのかもしれない。
少女の心は複雑でとても繊細であるらしかった。
気になりながら先に出勤したのだけれど
遅刻しながらもなんとか学校へ行ったことを後になって知る。
年頃になってくると髪型にもこだわるようになり
私も小中学生の頃ずいぶんと苦労したものだった。
母譲りの天然パーマでそれもなぜか前髪だけカールしていたものだから
散髪屋さんへ行くと女性の理容師さんに嫌味を言われたことがあった。
ちょうど友達と一緒に行っていたのを「この子の髪はどうしようもない」と
さすがにプロだから髪を切りなんとか整えてくれたのだけれど
子供心にひどく傷ついたことを今でも忘れられずにいる。
後で知ったのだけれどその理容師さんはM兄ちゃんが好きだったらしい。
母とM兄ちゃんの事がその頃にはもう噂になっていたのだろう。
私は憎き敵の娘だったようで髪に触れるのも嫌だったのかもしれない。
中学に入学してすぐに職員室に呼び出された。
前髪にだけパーマをかけているのかとひどく叱られたのだった。
その時には母が学校へ直談判に行ってくれて助けてくれる。
堂々としていれば良いとなんと心強かったことだろう。
成長するごとに髪質が変わったのか高校時代には前髪も気にならず
今この年になれば髪のボリュームは全く無く分け目も薄くなる。
その上に白髪が目立ちまあ年相応と言うところだろう。
娘は隔世遺伝か天然パーマで苦労していたけれど
今はストレートパーマという優れた技術があるらしい。
孫たちは二人ともさらさらの黒髪。遺伝には縁がなさそうだ。
あやちゃんの髪型は好評だったのか笑顔で「ただいま」と帰って来る。
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