ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2021年11月29日(月) 孤独

今朝は各地で今季一番の冷え込みだったらしい。

山里は平野部よりも冷え初霜が降りていたそうだ。

来客があるたびに「寒かったねえ」の声。

日中は嘘のように暖かくなり陽射しが降り注いでいた。



独り暮らしのお客さん。毎日3時に入浴するらしい。

5時には晩酌を始め9時には床に就くとのこと。

夜になるとやはり心細く飼い猫だけが話し相手なのだそう。

そんな話を聞いているとなんと私は恵まれていることだろうか。

私など独り暮らしは絶対に出来ないと思う。



21歳の頃だっただろうか。少しの間だったけれど

アパートで独り暮らしをしていた時があった。

いつまでも母達の世話になる訳にもいかず

就職を決め自分なりの独立を果たしたつもりだったけれど

まるで天井が落ちて来るのではないかと思うほど夜は心細かった。


当時つきあい始めたばかりの彼がいてすぐに同棲を始める。

同棲と言っても彼にも借りているアパートがあり

毎晩仕事が終わると通って来ると言う暮しであった。

料理を作るのが得意で趣味は釣り。週末はよく一緒に釣りに行った。

ほんとうに気の合う人で私は彼に救われていたのだと思う。


けれどもそんな幸せな暮しは長続きせず

「結婚」の話が出た頃には彼の母親から猛反対をされてしまったのだ。

毎日のように職場に電話があり「別れてくれ」と言われた。

彼の父親は他界しており大切な一人息子だったのだろう。

そうして彼の選んだのはやはり「別れ」しかなかったのだ。


身を裂かれるような思い。乗り越えられない大きな壁。

私の過去が大きな原因となりもう破局しか道はなかった。


私は思い出がいっぱい詰まったアパートを引き払い

また新しいアパートへ引っ越して行った。

そうしてまた独り暮らしが始まる。

幸いなことに職場の同僚の女性が同じアパートに住んでいて

風邪で寝込んだ時には温かいお味噌汁を運んでくれたりした。

彼女も週末に来てくれる彼を待っている身の上であった。


真冬のある日、飼っていた手のり文鳥が死んだ。

仕事から帰って来たらもう冷たくなっていて手遅れだった。

おいおいと声をあげて泣く。もうほんとうに独りぼっちだと思った。


「孤独」には付ける薬がない。

どれほどの優しさもどれほどの慰めも効きはしないと思う。

それは一時的な事で結局は孤独そのものに違いないのだった。


職場の同僚たちがこぞって私のカレーを食べに来てくれたことがある。


その中の一人に彼が居た。その人は一番美味しそうな顔をしていた。

でも人参が苦手らしい。お皿の隅に人参を残していて

子供みたいな人だなあと可笑しくてならなかった。


40年以上の歳月が流れたけれど

未だに彼はお皿の隅に人参を残し続けている。




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