朝の最低気温が一桁の日が続いている。
やがては真冬並みの寒さが襲って来ることだろう。
少しずつ慣れていかなければいけない。
それにしてもいつからこんなに冬が苦手になってしまったのか。
子供の頃編み物が得意だった母が毛糸の帽子を編んでくれたことがある。
山間部の冬は平野部よりもずっと寒さが厳しくて
その帽子が嬉しく霜柱を踏みながら学校へ通ったものだった。
弟はまだ保育園児だったのではなかっただろうか。
確か白い帽子だった。尻尾のように長い帽子でぼんぼりが付いていた。
ある日の帰り道友達がふざけて弟の帽子を引っ張ったら
ぼんぼりが千切れてしまって弟が大泣きになったことがある。
私はそのぼんぼりを手のひらに包み込むようにして家に帰った。
その夜、母がぼんぼりを付け直してくれたことを憶えている。
弟の白い帽子。私の帽子は何色だったのだろう。
それがどうしても思い出せない。なぜ忘れてしまったのだろう。
母もきっと忘れていることだろう。もしかしたら編んだことさえも。
子供の頃の記憶はとても曖昧で断片的でもある。
よほど印象深い事ではない限り憶えていない事の方が多い。
今は孫たちとふれあいながらの日々にあって
些細なことなどあっても忘れられてしまうかなと思うと
ふっとせつなさが込み上げて来る時がある。
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