お昼前から雨がぽつぽつと降り始める。
気温は16℃ほど、ずいぶんと冷たい雨に感じた。
今夜はとうとう浴室暖房をつける。
おかげでゆったりと温まることができた。
電気代が家計に響くけれど仕方ないなと思う。
我慢して死ぬよりはずっとましなのではないだろうか。
大げさに聞こえるかもしれないけれど
私にとっては入浴イコール死に他ならない。
父方の伯母二人をヒートショックで亡くしているので尚更のこと。
親しかった友は入浴中にくも膜下出血になり亡くなっている。
今日は弟に5年ぶりに会えてとても嬉しかった。
衆院選の選挙カーの運転手として弟が山里に来たのだった。
候補者が街頭演説をしている合間のほんの数分だったけれど
血を分けた弟とはなんと愛しいものであろうか。
弟はしきりに母の事を案じていたけれど
つい先日母に会えたことを話すと安堵した様子。
弟もどんなにか母に会いたいことだろうと思う。
薄情な私と違って弟はとても母思いな息子であった。
52年前のあの日、私と同じく弟も泣かなかったけれど
どんなにか戸惑い辛かったことだろうと察する。
あの時のことを弟も決して忘れてはいないだろう。
けれどもそのことをおくびにも出さず今まで生きて来た。
結婚をし二人の娘に恵まれもうすぐ二人目の孫も生まれる。
今が幸せならば過ぎ去った日の事などもう封印されているのだろう。
弟は私が思っている以上に強いのではないだろうか。
「身体に気をつけて元気でおりよ」運転席の弟に声をかけた。
選挙カーはけたたましい程の声をあげて遠ざかって行った。
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