中秋の名月を夜が明けてから見る。白い月だった。
たなびく雲は薄っすらと茜色。なんとも幻想的な景色。
名月が満月となるのは8年ぶりなのだそう。
なんだか不思議な気持ちになった。
母方の祖母の命日。二日ほど前に夢に見る。
まだ60代くらいの祖母で誰かに似ているなと思ったら私だった。
一緒にお風呂に入っている夢でとても楽しかったのだけれど
子供のはずの私は今の私でまるで祖母が二人いるようであった。
祖母は還暦の歳に脳を患い右半身が不随になってしまった。
右手がかなわず私の大好きだった「おはぎ」も作れなくなる。
けれども子供の時に食べたおはぎの味は今でも忘れられない。
父と母が離婚してからも縁は切れることもなく
父はよく私と弟を祖父母の家に連れて行ってくれた。
母を憎んでいただろうに父はおくびにも出さなかったのだ。
それが父の精一杯の優しさだったのだと思う。
私が最初の結婚をする時には祖父母が婚礼家具を揃えてくれた。
その時に買ってもらった三面鏡を今も大切にしている。
きっと祖母が選んでくれたのだろうと信じている。
今となってはその鏡が祖母の形見のように思えてならない。
16年前の秋。祖母は肺炎を患い危篤状態となった。
確か亡くなる二日前だったと記憶している。
まだ微かに意識があり手を握ると歌を歌い始めたのだった。
「お手々つないで野道を行けばみんな可愛い小鳥になって」
祖母は最後まで歌い続けた。それが祖母の声を聴いた最後となる。
歳月が流れ私も孫を持つ身になると
孫がどれほど愛しい存在であるか思い知るようになった。
別れたくはないけれど死は確実に迫って来ているのだと思う。
なんとしても長生きをしたいけれど永遠の命などないのだ。
私も祖母のように歌いたい。孫たちの心に歌を残したい。
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