| 2020年11月21日(土) |
あの時の苦労があってこそ |
今朝は少し冬らしさが戻って来てなぜかほっとする。
やはり季節に似合った「温度」が必要に思うのだ。
寒さあってこその「ぬくもり」はとてもありがたいもの。
いとこの息子さんから「ツガニ」をたくさんいただく。
別名「モクズガニ」とも言い上海蟹によく似ているのだそう。
卵やカニ味噌が詰まっており今が旬の川の幸である。
今はいただいてはご馳走になってばかりいるけれど
昔は私達夫婦も「ツガニ漁」をしていた頃があった。
じいちゃんが30歳、私が25歳の頃から始めたと記憶している。
お舅さんが亡くなったばかりで後を継いだのだけれど
慣れるまではほんとうに大変で苦労の多い仕事だった。
餌にするお魚のアラ等を街の魚屋さんに貰いに行って
竹で編んだ巻き簾にくるくるっと巻き漁の準備をする。
カニ籠は80個位だったろうか、その分の餌が必要であった。
餌を保存するような特別な冷蔵庫もなかったので
翌朝漁に出掛ける頃には仕方なく異臭が漂っていたりする。
籠と餌を軽トラックに積み込みシートで覆い隠すようにして出掛けた。
四万十川ではなく隣町の山深い小さな川ばかりで
それぞれに縄張りのような場所がありカニ籠を川に浸けて行く。
時には近くに民家がありそこの人に睨み付けられることもあった。
それがいちばん嫌だった。堂々と胸を張れない心苦しさを伴う。
それでもそうして食べていかなければいけない。
幼子ふたりを抱えてのどん底の暮しを余儀なくされていた頃。
大きな蟹は関西方面等に出荷したけれど小さな蟹は食卓にあがる。
姑さんが石臼で細かく砕いて「ふわふわ汁」をよく作ってくれた。
それがとても美味しくて何杯もおかわりをしたことを憶えている。
川漁師だけでは生計が成り立たなくなりじいちゃんは再就職。
毎月のお給料がどんなにありがたかったことだろう。
私も近くの縫製工場に就職しやっと人並みの暮しが出来るようになる。
ツガニを食べるたびに思い出す遠き日の事が今ではとても懐かしい。
あの時の苦労があってこその今である。貴重な体験をさせてもらった。
もう35年以上の歳月が流れてしまった夜にこれを記す。
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