雨のち晴れ。夕方から北西の風が吹き始める。
西の空はうろこ雲。ほんのりと紅く染まりなんときれいだった。
「夕暮れ時はさびしくて」そんな歌もあったけれど
しんみりとするどころか夕飯の支度へとこころが動くばかり。
若き日のあの涙ぐむようなせつなさは何処に行ってしまったのだろう。
恋をすることはなくなったけれど「愛しさ」はどんどんふくらむ。
老いるということはきっとそういうことなのかもしれない。
夕飯時にまたあやちゃんを怒らせてしまった。
あまりに文句を言うものだから「もう一回言ってみなさい!」と
きつい口調でにらみつけたら怒って子供部屋に閉じ籠ってしまう。
娘が宥めに行ったら「おばあちゃんと一緒に食べたくない」と言う。
今日の私は悲しくはなかった。「ふん勝手にすれば」の気持ち。
「子供相手にムキになるなや」とじいちゃんは笑うばかり。
怒るなら怒ってやる「倍返しだ」「かかってこいや」
あやちゃんはかかっては来なかった。泣いてもいなかった。
私の顔を見ないようにしながら黙々とご飯を口に運んでいたのだった。
愛しさは言葉には出来ず愛しさは時にすがたを変える。
日記に書いたよと言えばまたきっと怒られてしまうだろう。
だからこれはひみつ。あやちゃんには内緒にしていてくださいね。
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