二十四節気の「小雪」木枯らしが吹き始める頃とされ
本格的な冬の始まりを知らせてくれるはずなのだけれど
今日も日中はとても暖かくなりまるで春のような風が吹く。
お隣の山茶花がもう散り始めてしまって花びらがたくさん
我が家の庭にも舞い込んで来ていてなんだかふっとせつない。
掃き掃除もせずそっとそのままにしておくことにした。
掃き集めれば塵になるのが可哀想にも思えたのだった。
朝のうちにお大師堂へ。すっかり日曜日の恒例となる。
お参り仲間のいとこから北海道の青年が数日逗留していたことを聞く。
初めて彼に会ったのは5、6年前だっただろうか。
夏の間にアルバイトをして貯めたお金で四国へやって来る。
自転車を買い求めお遍路をしながら観光も兼ねての気ままな旅だった。
今年もそんな季節になったのかと感慨深く思っていたけれど
あまりの長逗留にどうやらSさんと口論になったらしい。
お大師堂はよほどの事情が無い限り連泊を禁止しており
彼の自由気ままさがどうやら仇になったようだった。
もしかしたら私との再会を待っていてくれたのかもしれない。
それは思い過ごしかもしれないけれどなんとなくそんな気もする。
「おかあさん」といつも呼んでくれた笑顔が懐かしくもあった。
まさか追い出されるとは夢にも思っていなかったことだろう。
申し訳なく気の毒でなんだか胸が締め付けられるように痛む。
お大師ノートに彼の殴り書きが残されていた。
そこにはSさんに対する怒りが爆発したかのような言葉の数々。
それを悪口と言ってしまえばそれまで。けれどもどんなにか
辛い出来事だったのかが読み取れる内容であった。
最後に「死に場所をさがしてやる」と書いてあり目を疑う。
あの陽気で明るい青年がと。いったいどんな重荷を背負っていたのか。
彼にとっては第二の故郷だったのかもしれない四国で
命を粗末にすることだけは決して許さないと思ったのだ。
生き抜くためのお遍路であってほしい。
生きようと思えるような旅であってほしい。
真っ青な海は決してきみの墓場ではないのだから。
もう二度と会うことは叶わないかもしれないけれど
もし会えたならきみをぶん殴ってやる。
これでもかこれでもかとそうしてきみと一緒に泣こう。
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