もう初冬にしては暖かな朝。雨あがりの空をほっと仰ぐ。
雲が多く快晴ではなかったけれど穏やかな小春日和となった。
そんな暖かさも長続きはしないそうで冬らしい寒さを覚悟しておく。
いつから冬が苦手になったのだろう。老体に緊張感が走るばかり。
紅葉が見頃とのことでぶらりと出掛けようとしていたところ
めいちゃんが突然の嘔吐。熱もなく元気なのにどうしたことか。
何度も吐くので心配になり娘が救急外来に連れて行くことになる。
「大丈夫だから行って来なさい」と言ってくれて
後ろ髪を引かれつつも家を出た朝のこと。
さすがに遠出をする気にはなれず近場の「黒尊渓谷」まで
同じ市内とは言え人里離れた山奥の悪路の末にそこはあった。
四万十川の支流の黒尊川の清らかな流れ
川沿いには目を見張るほどの綺麗な紅葉が見られる。
それはすでに廃校になった小学校の庭にも。
かつての営林署の廃屋となった官舎の片隅にも。
そんな風景に不思議な懐かしさを感じる。
きっと幼い頃に何度か訪れていたのだろうと思う。
営林署に勤めていた父はよくいろんなところに連れて行ってくれた。
「黒尊渓谷」でちょうどお昼になったけれどお弁当を持参しておらず
昼食に困り果てて屋台のたい焼きを買って空腹を満たす。
ぬくぬくのたい焼きはほっこりと美味しかった。
めいちゃんが気がかりでならず急いでとんぼ返り。
帰宅したら薬を飲んでお昼寝をしているところだった。
救急外来には小児科の医師が不在だったそうだけれど
「胃腸炎」だろうと吐き気止めの薬を処方してくれたそうだ。
夕食に娘が雑炊を作ると「おいしい」と二杯もおかわり。
食後の嘔吐もなくいつものようにお風呂に入る。
「だいじょうぶ?」と私が何度も訊くものだから
「おばあちゃんはうるさい」とさっきも言われたばかり。
隣室からのはしゃぎ声にほっとしながらこれを記す。
平穏無事と書く。ありがとうございましたと書く。
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