夜明け前まで雨。まるで踊っているような歌っているような雨だった。
「ぴちぴちちゃぷちゃぷらんらんらん」口ずさみながら詩を書く。
私はまだ崖っぷちにいるのだろうか。
暗いトンネルの中を歩いているのだろうか。
ふとそんなことを思ったりしながら
いったい何に拘っているのだろうと自問自答する。
はっきりと確かな事であってはいけない気がした。
おぼろげで不確かな事だからこそ書けるのかもしれない。
雨のち晴れて爽やかな秋の空が広がる。
お昼休みに手紙を書いた。言葉足らずになってしまったけれど
きっときっと伝わるだろうと信じてみようと思う。
ポストに落ちる時「ことん」とちいさな音が聴こえた。
はるかな海を渡って旅をする手紙のささやかな息づかいかもしれない。
「いってらっしゃい」そう声をかけた午後のこと。
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