雨の予報だったけれど午後から思いがけずに晴れ間が。
少し蒸し暑かったけれど優しい陽射しが嬉しかった。
山里の幼馴染の命日。もう二年目の秋になる。
少しのあいだ職場を抜け出してお線香をあげに行く。
あの日も今日のように優しい陽射しが降り注いでいたっけ。
突然の訃報に奈落の底に突き落とされたような日だった。
信じられないというのに彼女はもう冷たくなっていたのだ。
私が山里の小学校に転校してきたのは四年生の時だった。
わずか三年の間だったけれど彼女はいちばんの仲良し。
私が転校してからもずっと文通を続けていた。
やっと再会できた時にはふたりとも結婚し母になっていたけれど
昔の面影をそのままに彼女はとても優しく接してくれていた。
やがて孫が出来ておばあちゃんになったふたりは
会うたびに「長生きしようね」とまるで合言葉のように
いつも指切りげんまんをしていたのだと今になっておもう。
ある日突然の死。どうしてそれを受け止められようか。
「わたしは生き永らえていますよ」遺影に語り掛ける。
仏壇のある居間にはお孫さんの写真がたくさん飾られてあった。
もう泣いてはいけない。精一杯の笑顔で彼女のもとを去る。
|