眼花、井に落ちて水底に眠る
坂瀬

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 小説・君を抱いて昼夜に恋す:久我有加

ボーイズ小説・君を抱いて昼夜に恋す(ディアプラ文庫)久我有加

大正時代大阪。稀代の名人であった彫り師の弟子である受は、博徒の親分に頼まれ一人の男・攻を預かる事になる。最初の晩に押し倒されそうになったが…。
雑誌掲載とその後の書き下ろし。いつも買っている作家さんの新刊なので買った。可もなく不可も無くと悪くないの間。
受は彫り師。女工の母親に育てられたが母親が死に工場から放り出され貧民窟で育つ。師匠に拾われて刺青師になる。腕は確か。切れ長の双眸と通った鼻筋。端正な容貌。男としてはほっそりとした体つき。男女に言いよられる。男女とも寝た事がある。女のように肌理の細かい白い肌。肝が据わった性格。冷静。情を覚えた事がない。
攻は博徒。貧乏な農家の9男として生まれ外に出される。ヤクザに拾われそれ以降博徒の生活。若駒のように引き締まった体躯。精悍な面立ち。野性の獣の如き猛々しさ。危うい物を全身から発する。黒々とした両の目は凪いだ海のように静か。口数が少ない。何をしなくても周囲に敗北感や怯えさせる。特別の器。火種のよう。
断れない筋から頼まれ攻を預かる事になった受。攻の背に刺青を入れる事になったが、男に相応しい刺青を入れるには自分の腕では難しいと悩み…みたいな流れ。情を知って一皮剥ける受の話。
古い大阪言葉が使われている。いくつかは懐かしかった。私は兵庫出身で大阪弁とはまた違う方言なのだけど、まだ小学校に上がる前、関西ローカルで出てくる大阪弁の聞き慣れない単語を、母親に訊いては意味を覚えていった時の事を思いだして懐かしい気持ちになった。自分の住んでいる所から遠い地方の言葉が分からないのは納得出来るのだけど、行こうと思えば行ける距離の場所で言葉が違う事もあるのだと、子供心に実感した体験だった。
それはともかく、受も攻も両方格好良いしとても良い男なのだけれど。受視点なので受はすぐ側にいる知り合いのように親近感が持てたのだけど、攻は知り合いの知り合いみたいな距離を感じた。噂ばかりはよく聞くけど実際どういう性格なのかを思い返すと、半分も分からないような距離感というか。なので受よりは親近感が持てなかった。
攻にいきなり押し倒されても、受はクールに対応している。情を知るようになる以外性格が変わる事はなく、二人とも完成された人格だった。 
Hはそれなり。数はこなすが好きな相手が居なかった受が、攻とやって快感を覚える描写が好き。ついでに言うと攻が受の袖の中に指を滑らせる描写がHくさくて良かった。攻の背中に墨を入れながら性的興奮している受も可愛い。
次も設定次第。
大正8年設定。関西弁。大阪言葉。刺青。ヤクザ物。博徒。博徒22歳×彫り師20代半ば。クール受。花街。シリアス。


2009年11月11日(水)
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