眼花、井に落ちて水底に眠る
坂瀬

日記&BLの個人的感想。ネタばれ基本。まずは下のリンクのHOMEへ。


 木原作品雑誌の感想

相棒シーズン3のDVD5〜10までを観た。
3は最後泣きでしめる話が多くなっていた。脚本家によって違うのかな。前半派手だったのに後半オーソドックスで小さくまとまった話に戻った印象。逆の方が良かったのではないか。しかも最終話はあっさりし過ぎて本当にシリーズ最後かと思ってしまった。悪い話ではないのだけど最後の割に盛り上がりに欠けるというか。

小説ビーボーイ11月号を買ってみた。買ってみた宣言のみ。
中原さんと青野さんが楽しみ。玉木さんも遊郭シリーズではないので興味がある。吉田さんの名前を久しぶりに見つけて驚いた。
次号は読みたい人がいないので数年ぶりにパスするかも。バーバラさんが議員もので無ければなー。政治ネタは萌えにくい。



思い立って木原さんの作品を読み返しており、単行本未収録のやつをメモったのでここに書いてみる。感想は思い切りネタバレをしているので注意。ついでに暑苦しいかと思うので更に注意。


木原さんを初めて読んだのは、雑誌に載っていた「水のナイフ」。登場人物のあまりの性格の悪さに、変わった作品を書く作家さんだと思い心に留めておいたのが最初。次は同じく雑誌に載っていた「眠る兎」。これは今度はえらく地味な話を書く作家さんだと思って読んだ。
んで、「グリーングリーン」で近○そー姦。やったー! と思い好感を持ち、「黄色いダイアモンド」「CHANGE IT」のオチににやにやした。それ以降はクセのある作品を書く作家さんだと言う認識で、「weed」「あのひと」あたりで完全に好きな作家さんになった。性格の悪いキャラの話も良いが「あのひと」のような地味で地味で地味な話も好き。
周りの友達で好きな人がいなかったのでずっと寂しかったが、最近友達の一人がはまってくれたので嬉しい。
そう言えばネットをするようになり、自分の持っていたこの作家さんの印象とネットで良く読む感想がかけ離れていた事に大変驚いたのも今となっては良い思い出。


・MUNDANE HURT前後編 1998年小説b−Boy2・3月号
受の実家は金持ちで受は遊びまくっている。高校時代に遊びで堕とした攻と別れ、大学時代に父親の借金で貧乏生活になり薬に手を出した受は攻と再会し…。可もなく不可もなく。
前後編だが、2/3ぐらいは受が高校時代どんなに酷いことをして攻を裏切り身を持ち崩したか書かれている。大学生の時に父親が借金を抱え愛人と逃亡し受の長男が事故死、借金取りに追われ大学を止め、母親は精神が壊れて飛び降り自殺し、受は麻薬に溺れて服役し堕ちるところまで堕ちる。
あまりに見事な一家離散で、腹が立つというより最後は笑ってしまった。一番可哀相なのは受の母かも。良いところのお嬢さんで信じていた夫が借金を作って愛人と逃げ事故死。頼りにしていた長男も事故死。働きに出たスーパーの店長にやられて妊娠。精神をきたして精神病院の屋上からダイブ。木原作品の中でも、ここまで悲惨な人生はあまりないかもと思った。
この受は薬中でらりっているところを攻に助けられ次第に攻に惹かれていくが、攻からはあまり恋愛感情が感じられなかった。最後も受の告白で終わっている。なかなかすごい話だった。


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・レザナンス 1999年ZERO24号
ベトナムの前線に送られた日系の兵士攻と白人受のふれ合い。可もなく不可もなくプラス1。
オリジュネが同人ジャンルとして増えてきた頃、洋楽や洋書にはまり外国人BLをかいていた作家さん達の本を買い続けていると、必ず1つ2つはベトナム戦争ネタがあったように記憶している。
その中にすんなり並べられるような内容とオチだった。萌えは少なかった。オーソドックスな作り。
出てくるメインキャラは他の作品と違いイタくはない。戦争という極限状態でごちゃついている場合ではないのだろうが。恋愛というよりも極限状態における人の繋がりがメインになっている。互いが大切な存在というか。最期は二人とも酷い終わり方なのだが、そこら辺の締め方もベトナム戦争物っぽい。

・FRAGILE 2000年小説b−Boy8月号
後で

・TRUE LOVE 2001年小説b−Boy2月号
大学生の攻は付き合っていた男を事故で亡くしその親友である受と話すようになるが…。可もなく不可もなくと悪くないの間。可もなく寄り。
初っぱな恋人を亡くしたばかりの攻が出てくるが、メインはその恋人と親友だった受の過去と現在。親に虐待され学校では苛められ孤立していた受が転校生である親友と出会い心を開いて依存する。それからずっと歪んだ関係のまま大学生になり親友が亡くなってから攻との関係が出来るみたいな流れ。
受の性格は偏っていて親友を絶対視している。攻は普通の性格っぽい。
親友の存在が大きい割に実際受のことをどう思っていたのか、攻がどれぐらい恋人として好きだったのか分かりにくい部分もある。間を繋いでいた親友が亡くなってからの二人の絆が出来るまでが書かれている所でおわるので、起承転結の承の頭で切れているような印象を受ける。実際読んだ当時は続くのかと思っていた。受の気持ちも今ひとつはっきりしていないので、続きを読んでみたい。

・青春狂走曲。前後編 2000年小説b−Boy10・11月号
大学生の受の実家の喫茶店で、大学内でも奇人で有名な攻がアルバイトをしている。最初は受の妹目当てだったが妹にふられて慰めた受にほれて…。みたいな流れ。攻の方が先輩。同じ大学の先輩×後輩。攻は奇抜な服を着て髪も手入れをしていない。思い込みが激しく自分は格好良いと思いこんでいる大学内の有名人。最初は妹目当てで受の喫茶店の格安バイトに入っていたが、受が好きになると執拗なアプローチをかます。受は嫌がるが人の話をきいちゃいねー攻は押して押して押しまくり、最後は押し切り勝ち。
受は一見常識的なのだが、詩人でロマンチストで飛んでもない性格の父親の血を色濃くひいていると思う。ドタバタメインの割れ鍋に綴じ蓋カプだった。
攻も普通にしていればハーフの顔立ちで整っており頭も良い。

・CURSE 2002年小説b−Boy8月号
プライドが高く腕が悪く鼻持ちならない医者の受は、研修医の攻にネットで呪いのHPを教えて貰う。そこで占うと自分は呪いを受け数日後に死ぬと出て…。可もなく不可もなくプラス2。
鼻持ちならずに下に当たり散らす受。最後まで性格は変わっていない模様。占いは攻の仕掛けでからかうための物だったが、本気で振り回されている受が最後の方では可愛くなっていたマジック。
攻はそんな受が可愛いと言っていたが、気持ちは分かる。打算がありありと見えている状況で必死で媚びを売る受は、人間としてはどうしようもないのだが、うちの犬もこういう浅はかなところがあるよなーと思ってしまうと可愛くなるマジック。受の浅はかで馬鹿なところが可愛かった。
くっついた後も攻は呪いをたてに受を精神的にいたぶっているので、その日常が読んでみたかった。普通なら攻も酷いと思うのだが、受の性格の悪さがが全てを相殺する。
受を騙す事件は病院内でおこり、シャレにならない事態になれば引いたかもしれないが、呪い自体はちゃちなものだった。

・深呼吸 2002年小説b−Boy11月号
外資系会社をリストラされ弁当屋でアルバイトをはじめた主人公の元に、年下の元上司が弁当を定期的に買いに来るようになり…。Hまでしていないのでどちらが上かは分からない。主人公43歳。元上司は30代頭? 可もなく不可も無くと悪くないの間。
全体的に起伏がないまま淡々と話が進む。主人公は鈍すぎて上司が仄かに片思いしているのも気付かずとんちんかんな返答を返す。そこら辺は笑えた。
上司は合理的できっぱりした性格で人の温かみは欠けている。クライマックスは上司が、主人公は使えないからリストラ要員に入れたけど性格は好きで片思いしていると告白する。あまりのさばけぶりに吹き出した。主人公は「深呼吸」をして気を落ち着けているがまさかここからタイトルをとったんじゃないよね。
眼鏡上司はリバらしいのでつきあってもどちらが上かは分からないが、感覚的に襲い受っぽい。これは書き下ろし付きで単行本にしてほしかった。

・月に笑う 2003年小説b−Boy2月号
苛められていた中二の受は夜の教室でクラスメートの女子が飛び降りて死ぬのを目撃する。その後ヤクザの舎弟である攻に彼女の事について聞かれ…。ヤクザの舎弟×中学生(いじめられっ子)。可もなく不可もなくプラス1。
学校の苛めネタ。いきなりクラスメートの苛められていた女子が窓から飛んで亡くなったので驚いた。苛めシーンは過酷まではいかないが陰湿で外に出るのが嫌になる。
いじめられっ子の受は卑屈で意気地無しで負け組なのだが、攻と関わるようになり必死になるうちに某かの成長をする。真っ直ぐに明るい方向では無さそうだが。攻の事情は殆ど出てこなかった。無免許で運転したりたかったりまだまだチンピラ。
一応Hまでするが恋愛というよりは一緒にいたい相手程度に見える。まだ高一だし恋愛感情云々までには至らないのかもしれないが、成長して悪知恵が働くようになった一癖ある受と小さな組のヤクザになった攻がみたい気はする。成長と共に下克上になったりしないのかな。

・恋の片道切符 2003年小説b−Boy10月号
実力派俳優の受は45歳。ゲイ。少年が好きで会員制のゲイクラブに通い恋人と付き合っているが長続きしない。ある時ふられてやけ酒を飲み起きると隣りに年下の白人・攻が寝ており…みたいな流れ。悪くない。
今は40代受も出てきたけれど、これが雑誌に載った時はまだ珍しい方だった。受はぼんやりとして優柔不断、頭は悪いが嫌なキャラではなく演技だけは光る性格。25歳の攻は受の映画を観て受のファンになり酔った受に声をかけられ真摯に受を愛している。真面目で包容力があり好人物だった。そんな攻に最初は戸惑っていたが次第に惹かれる受。鏡の前でたるんだ体をみて焦る姿が可愛い。一波乱あってくっついた後は落ち着いたラブラブなカプになりそう。これは是非続編が読みたかった。

・ハッピーライフ 2004年小説b−Boy4月号
小さな清掃会社で働く受は掃除しに行った先で攻と出会う。数日後賃貸マンションを出された攻を見かけ、かかわったため仕事を世話しなし崩しに同居することになる。
元外車のディーラー32歳×元銀行員28歳。普通。
今回は攻が駄目人間。悪い人間ではないがだらしなくて楽天的。几帳面な受はいつもいらいらさせられている。管理能力がないのに犬を引き取ったりされたら嫌なことを次々としていく攻に、じわじわと不快な気分になる。作品内なので運のない受に笑っていられるが実際自分がされたら嫌だろうなーと思った。二人は大きなダルメシアンを引き取る。この犬が幸せになってくれますように。
恋愛部分はなし崩し的で中途半端。受は攻と一緒にいても良いかな程度しか思っていないが、攻は受が好きになり最後はのしかかるようにHしている。気持ちよさそうではない。

・薔薇色の人生前後編 2006年小説b−Boy4・7月号
前後編。覚醒剤で三度服役している攻は現在デリヘルのマネージャーをしながら、刑事の受と付き合っている。ある日麻薬取引のネタを知り受のため情報を得ようとするが…。みたいな流れ。可もなく不可も無くと悪くないの間。デリヘルマネージャー36歳×刑事30歳。
前後編。前半の半ばまでは攻の半生が出てくる。不良になって薬に手を出し犯罪に手を染め親を泣かせて友達を裏切って服役する。出所後親が亡くなったのを知り自殺をしようとする下りまで人に迷惑をかけているので本気で死んでしまえば? と思ってしまった。ここまで酷い攻を出すのもこの作家さんならでは。
真面目で仕事熱心な警察官の受は自殺しようとした攻を止め、代わりに強○される。本当に酷い攻だが、なんのかんの言いつつ6年関係が続く。その間受のため更正する攻。すっかりラブラブなカップルになっていた。後半は受のため情報をえようとヤクザに近づく攻。行動が抜けているところも哀愁を誘う。
最後はまるく収まっていたが、あんなに酷い攻なのに、二人でお幸せにと思えるのもこの作家さんならでは。
受は真面目で警察になるために生まれてきたような性格だが、受は受なりに自分の周りに殻みたいな物があり、それを攻によって取り去られたので攻が好きになったのかも知れないと思った。まあでも酷い攻。
「MUNDANE」も同じような酷いキャラの転落人生だが、こっちの攻は反省し心を入れ替えているだけマシ。

美しいことはもうすぐ出るので割愛。未読の中で単行本化してほしいのは、1が「恋の片道」、2が「TRUE LOVE」、3が「深呼吸」かな。

何度か書いたと思うが最初読んだ時に、この作家さんの書く作品は裏返した少女漫画のようだと思った。
欠点のある(と思いこんでいるだけの場合もあるが)主人公の前に完璧な王子様が表れ好き好き言ってくれて死ぬまで幸せに暮らすというパターン。
性格も顔も良いキャラが、王子様に出会って幸せになる話は読んでいて気持ち良いが、有る意味幸せになって当たり前だとも思う。キャラが美しい時期はこのまま幸せだろうが万が一何かあった時も本当に幸せなのだろうか。物語の終わりはずっと幸せに暮らしましたであっても、そんな疑問が浮かぶ時がある。
この作家さんのキャラは性格がどうしようもなくねじ曲がっていたり、格好悪い所を見せたり最低な部分を相手に露悪的なまでに見せつけている。その最低の状況を見ても相手が好きだと言ってくれると、くっついた後波乱があっても最低の部分を既に見ているだけあって、乗り越えていけるのではないかと思える安心感が出てくる。
それとともにどんな欠点のあるキャラでも、王子様が愛してくれるという夢が見られる。読む人は誰でもという訳ではないだろうが、どこか自分の性格に欠点を認めコンプレックスを持っている人もいると思う。その人が本当に欠点のあるキャラが愛されている所を見るとほっとできるのではないかな。

そしてこの作家さんの作品の中には本当に悪い人はいないかもしれないと錯覚する事がある。実際は悪意に満ちた加害者がよく出てくるが、それらが他の作家さんに出てくる悪役ほど憎めないのは、この悪役もいつか酷い目に遭い、かつその最低の中で誰かかけがえのない相手と出会い、人らしい部分が出てくるのではないかと思えるからかもしれない。なにせメインキャラの性格が酷い事が多いので、そんな酷い性格のキャラも反省し思いやりや人間らしさを持てるようになる過程を読んでいると、脇キャラの悪役もそうなるのではないかと思い憎みきれなくなってしまう。

初期の頃から、執着する側の「寂しいので一緒にいて欲しい」と相手に働きかける動機は現在も変わっていない気がする。子供が親に「捨てないでくれ」と訴える必死さに似て、これを言われた側はなかなか拒絶出来ない。欠点だらけのキャラが押しまくりほだされて受け入れるパターンが多い。
ついでにカプの片側が、必ずハンサムだったり美形な気がする。
作家さんはBL作家として長い。文章や雰囲気は初期から変わってきているが、元々のコアはあまり変化のない作家さんだと思える。そしてその部分が好きなのでこれからも読み続けると思う。

えらく長くなったが、つらつらと書いたので整理されていない部分もある。また思いついたらここに書き足してみる。


2007年10月15日(月)
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