眼花、井に落ちて水底に眠る
坂瀬
日記&BLの個人的感想。ネタばれ基本。まずは下のリンクのHOMEへ。
■
■
■
■
■
■
小説・盃、いただきました:小川いら
ボーイズ小説・盃、いただきました(ルチル文庫)小川いら
高校生の受は父子家庭で育ったが父親が事故で亡くなり天涯孤独になったと思ったら、弁護士の攻がやって来て受の家族が存在しているとヤクザの実家に連れていかれる。そこで出会う舎弟や兄弟は強烈な性格で戸惑うが…。
よく買う作家さんの新刊なので買ってみた。微妙。終始釈然としなかった。
受は高校生。父子家庭で育つが実は上に3人男の兄弟がいた。実家はヤクザの組長。奥手で世間知らず。慎ましく育った。お人好し。可愛い容姿。子リス。
攻は弁護士。ヤクザの組の弁護士。受の長男と同級生で親友。親が破産し母親は失踪。父親は自殺して天涯孤独。金のために弁護士になる。身なりは良いが隙はない。涼しげな目。目鼻立ちは上品に整い息を呑むほどいい男。男女にもてる。不敵な印象。
父親が亡くなり天涯孤独になった平凡な受に突然ヤクザの実家が出来て、組長の跡取りになってしまう。一筋縄ではいかない美形の兄3人の間と新しい環境でドタバタするアットホームな話。のはずなんだが、終始釈然としないというか苛々しながら読んでしまった。
この作家さんのルチルの既刊2冊は、強引傲慢な攻に子リス受が翻弄される話で、微妙に釈然としなかったのが、受が攻にやられっぱなしで気に入っているレベルでしか好かれていないように見えて可哀相だったからだが、今回のヤクザの実家はこの攻が増殖しているように見えた。実家の兄弟達や祖父、攻の全員から搾取されているように見える。
一応口では十数年ぶりに可愛い弟と再会出来て嬉しいとか言ってても、誰もヤクザの組を継ぎたくないから体の良い人身御供としてありがたがっている気がして仕方がなかった。
特に顕著にそう思ったのは次男カプのエピソード。受が慣れない環境で四苦八苦している時期に若頭と出来ている事が受にばれ→若頭が一番大事だからいざとなったらこっちを取る→実は受の事はちゃんと兄弟として大切にしている。みたいな流れ。
例えば、「これは絶対譲れませんから。それ以外なら貴方を精一杯助けましょう」と言われるのと、「貴方を精一杯助けましょう。でも申し訳ないがこれだけは譲れない物があるんです」と言われた場合、実際どれだけ助けてくれたとしても、前者の言葉を言われると、しこりを残すというか、びみょうーーな気持ちになるのに似ている。
せめて兄弟と受との仲がしっかりしたものになった後で、実は付き合っていましたとなった方がまだ納得いった。
受が大変な時にそれぞれの恋愛ごとにうつつを抜かして、受が大事だよとか言われても。なー。
まだ受を苛める兄弟の方がすっきりしてましだった。それなら悪人として兄弟に怒りをぶつけ、でも悪い人達ではないんだよとなって良かったと思えるのに。
悪い性格ではないと分かっているので、怒る矛先が有耶無耶になったままもやもやした気分だけが蓄積されていく。シリーズで一番押しが弱い性格でも、主役にそえたのなら目立たせて花を持たせてやればいいのに。ヤクザの実家の様子をコメディタッチで書かれていても笑えない。
結局受が我慢すれば全てが丸く収まり、受はこれからも人の良さにつけ込まれて搾取され続けるのかと思うと、何度も家を出れば? と思ってしまった。
受を搾取するのが悪人なら仕方がないと思えるが、受を支えるはずの身内が搾取するから始末が悪い。しかもアットホームなコメディでまとめられると怒る矛先が…。
脇カプの単行本化が決まっているなら、中途半端に出さずに、そのページ分受の恋愛事情に全力投球して欲しかった。適当に丸め込まれたような恋愛過程に乾いた気分になってしまった。おざなりにしすぎ。攻にまでないがしろにされているように見える。
期間限定で結局組をたたむなら、この世界に不慣れな可愛い四男に任せず、上のしっかりした3人兄弟の誰がなっても良かったんじゃんと、本気で思ってしまった。最後に丸く収めようとして更に釈然としない気分になったいい例。
次は兄カプに移るのだろうが、その端々でこの受が出てきたら、この受の犠牲の上にこの恋愛は成り立っているんだなーと思ってしまいそう。キャラが嫌いなわけではない。ただ書き方出し方をもうちょっと何とかしてほしかった。
Hはそれなり。
脇カプは受が不憫過ぎて買わないかもしれない。ルチルは3冊とも同じようなカプの力関係に見える。これから出る脇カプは、そうならないだろうけど。
ヤクザ物。跡取り物。シリーズ。脇カプ有り。弁護士31歳×高二16歳。アットホーム。
2007年09月26日(水)
≪
≫
最新
目次
MAIL
HOME