眼花、井に落ちて水底に眠る
坂瀬

日記&BLの個人的感想。ネタばれ基本。まずは下のリンクのHOMEへ。


 ボーイズ小説・閉ざされた愛の記憶:橘かおる/蝕月クレッセント:遠谷稔子

ボーイズ小説・閉ざされた愛の記憶(アイノベル)橘かおる

世界的なフォトジャーナリストを恋人に持つ受は、攻の乗った飛行機が落ちて攻が亡くなったと聞き、動揺のあまり階段から落ちて攻の記憶を無くしてしまう。その数ヶ月後奇跡的に生き残った攻がやってきて…
最初に読んだ本が気に入ったので既刊をいくつか買ってみたうちの一つ。微妙と今ひとつの間ぐらい。
受は医者の家系で父子家庭で育つ。薬学を専攻し、今はエイズやサーズの研究をしている。繊細な感情。年上の従兄弟達と兄弟のように育ってきた。一見押しが弱いが頑固なところもある。顔は良く頭も良い。
攻は新進気鋭の世界的なフォトグラファー。ピューリツァー賞も取った。彫りの深い顔立ち。浅黒い肌。強引で熱い。浮き名は流してきたが本気になったのは受が初めて。
以下ネタばれ全開につき注意。

危険地帯を飛び回る攻と、感染すると命に関わる研究を続ける受。攻が行方不明になり悲しみの余り攻との記憶を無くしたが、攻が帰国して受の記憶を取り戻そうと連れ出す。
受を猫かわいがりする従兄弟の兄弟。兄は精神科医で弟は外科医。攻との関係を快く思わず記憶を無くしたのを幸いに邪魔をする兄と、受のために攻に手引きする弟。受の記憶喪失には、実は兄の治療が絡んでいて…という非常に美味しい設定で、期待を膨らませて読んでいたのだが。微妙。
受の記憶を取り戻すためにHして記憶を揺さぶるというのはどうなのか。1度目なら分かるが、何度も記憶を無くす受に何度も同じアプローチをせんでも。しかも攻を心配するあまり記憶を無くしているのに、「そんなに受に好いてもらえて嬉しい(意訳)」という台詞は無いだろうと思う。何を脳天気な。攻の態度を好意的に、解釈しよう解釈しようと努力していたがこけた。
受の記憶がリセット3度目ぐらいで、急に記憶が無いながら攻に対して素直になり、Hされて話が急展開し、従兄弟兄陰謀説が浮上して、何か後で伏線でもあるのかと思ったらそのまま終わった。
後書きで作家さんが、「大長編になりそうだったから途中で切って規定枚数に収めました。ラストは切ったにも関わらず盛り上がって、Hも濃厚ハッピーエンド。後は読者が面白いと言ってくれれば」と書いていたが、前半ぐだぐだしていて迷走していると思いつつ、途中でいきなり方向転換して、は? と驚いている間に終わられてしまった。折角設定が面白そうだったのに。納得いかん。
取り敢えず買ったもう1冊も読んでみる。
写真家31歳×研究者25歳。記憶喪失。


ボーイズ小説・蝕月クレッセント(アクアノベル)遠谷稔子

1944年、ブタペストの大学で民俗学を研究している受は、ある時ナチに呼び出され吸血鬼の研究家のところへ行き話をきくように命令されるが…
青田買いで感想を書いた読み切りとその後の書き下ろし2本の計3本。その後が気になったので買ってみた。可もなく不可もなく。
ヨーロッパの伝承をからめる連作。1話目は吸血鬼、2話目は人狼、3話目は人魚。カプもあるしHシーンもあるが、やはりボーイズというより、民俗ファンタジーにボーイズ風味をくっつけたような雰囲気。
受は、大学に残り民俗学を学び体に欠陥があって兵役を逃れる。20代頭。ハンガリー人。地味ながら整った顔立ち。
攻はハンガリーでも富豪の一族。金髪碧眼。派手で目立つ存在。反骨精神があり、明るく行動的。大学の問題児。男女ともに人気がある。フリーライターを自称してヨーロッパ各国にいるレジスタンスと連絡を取る。
元々1話目が吸血鬼特集でかかれた話だったので、2,3話が取って付けたような繋がりに見える。2話目から急にカプがクローズアップされるのは良いのだが、1話目で受が中年〜老年になった姿が出てきているので、攻はどこに行ったのか心配になってしまった。
作家さんがこの時代&設定が好きで知識がある状態で書かれているような嗜好の強い作品だが、ラブの部分は薄い。無理に書いているとは思わないが、普通のボーイズを期待すると肩すかしをくらうかも。これで続くのなら読んでみたいが、終わるなら中途半端な気はする。
民俗ファンタジーボーイズ風味が好きなら楽しめるかも。
それにしても同じ年の二ヶ月ごとに吸血鬼もどき、人狼、人魚と出くわしているのに受は割と淡々としている。世界大戦中なので、その程度のことは些細なことなのかもしれない。
吸血鬼。人狼。人魚。第二次世界大戦。レジスタンス。大学の同窓カプ。エセファンタジー。

2005年01月02日(日)
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