眼花、井に落ちて水底に眠る
坂瀬

日記&BLの個人的感想。ネタばれ基本。まずは下のリンクのHOMEへ。


 ボーイズ小説・サン・ダイヤル日時計:杉原理生

キャラ8月号とダリア夏号を買ってみた。キャラの創刊9周年記念は書き下ろし小冊子。出るとは思っていたが最近小冊子企画が本当に多い。応募するけどね。
円陣さんの連載はようやく終わったようだけど、ぱっとしない終わり方だった。何故こんなまとまりが無いというか、とりとめが無い内容になったのか。元々話が期待できない作家さんなら気にならないのだが、最初に出た短編集はそこそこ良い話だと思ったので純粋に不思議。
エピソードはピンで見るとそう変ではないので、複数のエピソードを絡めるとガタガタするんだろうか。
ダリアは角田さん、円陣さん、富士山さん、紺野さんとよく読む作家さんが載っているので買うようになったが、表紙は派手なのに中身は割と地味臭が漂っている気がする。小説の新人さんのデビュー作が載っているようなので青田買いに入れておこう。
こちらも冨士山さんの小冊子プレゼントがあったが、これはもう申し込んでいる。



ボーイズ小説・サン・ダイヤル〜日時計(クリスタル文庫)杉原理生

登校拒否気味の受は、母親に言われ夏休みの間、母親と付き合っている男の元に身を寄せる。避暑地の別荘のようなその家に、同じく居候していた同い年の攻と出会い…
長編とその1年後の短い話。気になる作家さんの久しぶりの新刊なので買ってみた。めっちゃ微妙。というか地雷?
受は高校生。登校拒否気味。顔は良い。頭も悪くない。体力はない。昔は女の子のように可愛かった。兄弟のように慕っていた人に裏切られ厭世的。リストカットをした。
攻は美容室のスタッフの弟。人付き合いが悪い。愛想がない。無口。怜悧で整った顔立ち。静謐な雰囲気。美大志望。すらりとした背格好。料理が作れる。外見に関わらず面倒見は良い。
この作家さんのビブから出たデビュー作であるSF物は、勢いがあり作家さんが世界観をちゃんと持ている感じで好きだった。その次ぐらいにでた可愛い系の高校生物は、スカスカな感じでどうしてこんな話を書いたんだろうと思っていたが、その後数年見なかったような。
消えたかと思ったら、再びビブで作品がいくつか掲載されて、それらはみな一様に似た雰囲気でワンパターンながら、静かで淡々としたセンシティブな作風だった。個人的には3度作風が変化した作家さんだと思っている。
これは3つ目の淡々センシティブ系の話。受の心の揺らぎみたいなものが、詳しく丁寧に書かれている。ビブに載った話の修正バージョンらしい。ビブに載ったら一応読んだはずなのだが、まったく憶えていなかった。
受は母子家庭で父親の友人である男の援助で生活が助かっている。この男は息子がいて嫁との離婚後、息子との関係は悪くなる。息子は受の家庭を逆恨みして、受と恋人同士になった振りをして傷つけて別れる。その痛手から立ち直ろうとするという流れ。
最初の1/3ぐらいまでは普通に読んでいたのだが、段々受の性格についていけなくなった。周りの軋轢に耐えきれず、内にこもるタイプなので色々思い悩んで…みたいな話だったのに、虐げられクセがついているというか、ぐだぐだ悩むわりに前向きに解決しようとしないというか。自分で変えようとする事を放棄している。辛いことを口に出さないが、たまると切れる。自虐と爆発を繰り返すタイプ。側にいたらめっちゃ地雷な性格。DV男(この場合は昔の男だが)といつまでも別れられない女の典型的な性格。この手のタイプは申し訳ないが、一生理解できない。
攻を好きになった理由も、攻との時間に美しかった頃の自分を重ね、どちらかというと現状から逃げたいからのようで、攻が自分を受け止めてくれそうだと本能で理解しているので、攻に対して切れる切れる。そして甘える。そこらへんの計算高さも妙にリアル。攻は攻で面倒見の良さがたたって、そんな受にはまっているし。割と真剣に「攻、逃げて」と思ってしまった。
最期に受が大きく切れて一悶着あったが、恐ろしいほど何も解決していない。受の性格も変化せず鬱屈から乗り越えもせずそのまま。攻が受と付き合おうと決心するぐらい。攻、逃げて…。
一年後の話は攻視点。まったく受の性格は変わっていない。振り回すだけ振り回している。攻、目をさませ。
受の性格が気にならなければ、設定やら形は良かったのだが。なんじゃこれはと投げ捨てるというよりは、ぐったりと疲れた読後感。受は酷い性格ではないのだが、側にいたくないので静かにフェードアウトをしたくなるようなタイプ。
この作家さんは好きなのだが、話もそこそこ上手いと思うのだが、だからこそリアルな生々しさが気持ち悪かったのかも。この作品がひどい出来と言うわけではなく、ただただ内容が合わない。勘弁して欲しい。
17歳。青春センシティブ。高二同級同士カプ。受は自殺未遂。受に過去の男有り。薬を飲まされ輪○有り。

2004年06月23日(水)
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