眼花、井に落ちて水底に眠る
坂瀬
日記&BLの個人的感想。ネタばれ基本。まずは下のリンクのHOMEへ。
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ボーイズ小説・Pink Piggy:七地寧/極上の恋人:御木宏美/武装の麗人:小塚佳哉
ボーイズ小説・Pink Piggy(ラキアノベル)七地寧
小さい頃苛められていた攻は、同じ学校の受だけが友達だった。長じて攻は外見が格好良く成長し、周りからも注目を集めるが昔も今も受のことだけを追いかけていて…
デフォ買い作家さんなので買ってみた。これほどドキドキして新刊を読んだのは久しぶり。このドキドキが期待を込めてではなく、どこまでどうなっているのか不安でドキドキしているのが何とも。
受は帰国子女。落ち着いていて無口。人付き合いは下手ではないが、周りから一歩引かれているような雰囲気を持っている。頭も顔も良い。真面目。黒髪黒目。出生の秘密を持つ。攻は先天的に心臓が悪く薬の副作用で肌アレルギーがひどく肥満していたためクラスの人間から嫌われる。受だけが気にせず接してくれたので、親鳥に懐く雛のように受一筋。受が黒と言えば白い物も黒。高校に入ってからは背が伸び従兄弟の作る服のモデルになるぐらい顔も良くなる。頭も顔も悪くない。大型犬・忠犬攻。子豚は可愛い。大学は二人でアメリカ留学している。
あらすじだけ読めば、昔苛められていた攻が恩義を感じて幼なじみの受を好きになり、大きくなって立場が逆転してくっつくというベタな話だが、この作家さんらしいテイストに仕上がってはいる。必ずしもそれは私にとって良いことでは無いのかもしれんが。
今回は「社会とは」「仕事とは」とかいう酔っぱらいの世迷い言の語りは無い。主人公より目立つ女性も居ない。それはまだ良い。いや世迷い言は話に内容があれば入っていても気にならないんだけど。しかしロビーは出てくる。カプに何か起こると、みんなで出かけるのは最近のこの作家さんの流行なんだろうか。この作家さんのキャラはよく西堂学院という学校に通っているが、今回もその学校に通っていた。レリエルが多分この作家さんの理想の住処なら西堂は理想の学校に見立てている気がする。それは構わないのだが、理想の学校の説明に熱が入りすぎていて、本来の話がおいてけぼり。途中で出てきたOB達が当たり前のように会話していて、あんたら誰やねんと思ってしまった。多分別の話で出てきそうなキャラなのだが。
作家さんの中に西堂を中心としたいくつかの物語があり、それを切り張って小説にしているのかもしれない。だから他の話の主役格(?)も突然出てきて普通に振る舞っているのかもしれないが、初めてみた人間にはあんたら誰やねん。となるみたいな。西堂OBは変なところで力を持っているので、いつか米国大統領とか裏で決められるようになるのではないか(ネタ違い)。ワールドを作りたがるのは、この作家さんだけではないんだけどね。
今回カプの性格や諸々は好みだったのだが、攻の過去話はまだしも、受の出生の秘密がワールドワイド過ぎて、1冊読み切りで風呂敷を広げすぎるのはよした方がいいのではと思ってしまった。単純にアメリカで養子になったでええやん。そしたら西堂の愉快な仲間達も出てこなくて済むし。
長編設定を無理に短編に押し込めたような感じ。カプだけ見れば萌えカプだったのに。もう少しラブラブした二人を見てみたかった。非常に残念。
昔はもっと…と思いかけたが、読み返してみるに雰囲気、文体、性格はあまり変わっていない。敢えて言えば、もう少しカプにスポットが当たっていたというか。世迷い言が少なかったというか。
奥歯に物が挟まったような言い方になっているが、まだ期待したいし、楽しみたい作家さん。なんのかんの言っても攻の見せる執着が、マイツボにど真ん中。抜けられない。萌えって偉大。
幼なじみ。西堂ロビー。同級生カプ。小学校からスタートして大学生までの話。別カプ有りそう。細菌研究。攻視点がメイン。
ボーイズ小説・極上の恋人(ショコラノベル)御木宏美
パリコレをひらけるブランドの創始者である母親を半年前に亡くした若きデザイナーである受は、パリコレでデビューしたが酷評され、自棄になっていたところヤンエグの英国人・攻と出会い寝てしまう。帰国後ブランドの危機に受は…
同人のゲスト作品を読んだのが初読みで、商業誌は2、3冊ほど読んで肌に合わずにやめていた作家さん。最近凝ろうと思っている外国人×日本人だったので、久しぶりだしーと買ってみた。今ひとつ。というか少し読むのがつらかった。
受は両親が服飾ブランドを立ち上げてパリコレを開けるまでになった。半年前に亡くなりブランドを引き継ぎ新しいデザイナーとしてスタートしたばかり。白皙の美貌でスタイルが良い。プライドは高い。口と性格が悪くワガママ不遜。攻はイギリスの貴族でやり手の企業家。1/4日本人の血が入っている。ノーブルで洗練された立ち振る舞い。
何はともあれ、受のキャラが最期まで好きになれなかった。元々傲慢で仕事の約束も破りがちで当たり散らす性格で、母親から受け継いだ会社を自分のものだと主張するわりに、トップに立つ人間とは思えない子供のような行動と性格。気に入らなかったらすぐの職場放棄。遁走。最初はワガママお馬鹿さんでも、段々自覚が出てきていい男になるのかと思っていたら、最期までイタイままだった。もちろん嫌な性格でも魅力あるキャラならいいのだが、底が浅い。受の才能もどんなものかよく分からなかった。最期まで努力せず文句ばかりたれていたような印象。俺格好いいんだぜとナルが入っていた感じが拭えない。
攻の性格は割とテンプレでそこそこ良い男っぽいのではあるが、受の何が気に入ったのかよく分からなかった。出先で会ってHして帰国して再会してHして再会した頃にはすっかり好きになっている。
ついでに蘊蓄が多い。蘊蓄は話の展開上必要なものを詳しく説明してくれる場合と、このキャラはこんなことを知っているんだぜを、見せるための場合とあると思うが、今回はキャラを見せるために長々と書かれている感じ。蘊蓄が始まると話の流れが分断されぶつ切りな印象。こんなに詳しく書く必要あるのか? と思うような内容と量だった。
貴重なウイスキーを二人で飲むシーンがあるのだが、どんなに貴重か製造方法から製造元からその稀少性など半ページほど語ってくれて萎えた。親切なのかもしれないが、全部説明する必要はないのでは。知っている人だけにやりとする部分も作って欲しいような。
蘊蓄の並べ方も知っているヤツをみんな入れてみました。みたいな感じ。蘊蓄が多くてもキャラが魅力的なら、蘊蓄の波間からキャラの描写を読みとって萌えることが出来るのだが、今回は大波に飲まれて見えにくかった。蘊蓄やら経済に話が行くのは、私の味だと後書きで書かれていたが、蘊蓄はキャラを取り巻く環境を説明しているだけ。私はキャラに起こった問題をどう打破していったかがじっくり読みたいわけで。説明はされていても解決の経過は書かれていない。
唐突に出会って唐突に再会して唐突にオチがついた感じ。カップルになった気がしない。もしかして完結していなくて続くのだろうか。それほど唐突。
やはり読むのをやめたのには理由があるんだなと、昔の自分にしみじみ。
英国人企業家×日本人デザイナー20代半ば。服飾物。
ボーイズ小説・武装の麗人(ガイノベル)小塚佳哉
人気ロックシンガーである攻がストーカーに狙われているとボディガードの受がガードにつくようになった。奔放な攻は女遊びに行けないのならかわりに相手をしろと迫ってきて…
よく買う作家さんなので買ってみた。今ひとつ。
受は怜悧な美貌のボディガード。子供の頃襲われていたのを助けてもらいそれから人を守る職業につこうと決意する。仕事には真面目。体は細かい傷だらけ。恋愛には疎い。攻は有名人気ロックシンガー。顔がよく強引。享楽的で女にはだらしない。Hは上手。
この作家さんは好きでよく読んでいる方だと思う。いくつか読んでみたが日常と密接に結びつく設定(学生とかリーマンとか)なら普通に面白いと思えるのだが、日常から離れると首を傾げるというか今ひとつ度が上がるような。
日常設定ならすぐにキャラ同士の話に持っていけるが、特殊設定だと説明がまず入り、その分キャラの関係描写が少なくなって、カプがあっさりくっついて見えたり、魅力がよく分からないから今ひとつと思ったのかも。
作家さんはノリノリで書いていてそれは何となく分かるのだが、受があっさり攻と寝たのも、何となく続いたのも、攻が受を好きになったのも一応の説明はあったが、今ひとつピンとこなかった。
というかこの作家さんの持ち味は、キャラがどことなくお人好しそうでドメスティックで地味な雰囲気だと思っているので、それにそぐわない派手な設定の話を持ってこられると、微妙な違和感というか座りの悪さを感じてしまう。
この間のショコラの読み切りは好きだった。
ボディガードもの。ロックシンガー25歳×ガード28歳。
2004年05月09日(日)
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