眼花、井に落ちて水底に眠る
坂瀬

日記&BLの個人的感想。ネタばれ基本。まずは下のリンクのHOMEへ。


 ボーイズ小説・シークレットにやっちまえ:砂原糖子/院長先生にくちづけを:須藤直希/ずっと甘いくちびる:真先ゆみ

ボーイズ小説・シークレットにやっちまえ(アイスノベル)砂原糖子

刑事の受が目の前で発砲された事件を追ううちに探偵である攻と出会う。出会いは最悪だったが、何度か会ううちに追っている事件と関わりがあるのではないかと疑うようになり…
雑誌で読んでいたが書き下ろしがあったので買ってみた。悪くない。好みから少しはずれたが良い出来だと思う。
受は刑事で顔は良い。ちゃらんぽらんで楽に生きているが、仕事に関して真摯な部分もあるにはある。酒煙草は駄目。気が強く素行は悪い。猫みたい。攻はだらしない風体。顔は悪くない。元警察官で奥さんを殺され警察を辞める。今はしがない探偵。光恐怖症。言葉と態度で他人を韜晦するのが得意。
メインにくる事件は二転三転し、このページ数の割には読み応えがあったと思う。脇キャラもそれなりだし、話の運びもそれなり。攻の過去も色々あるっぽく見えてひね具合も良い。
ただ受がずっと攻に負けっ放しだったのが好みでなかった。もうちょっと攻が受に依存しているというか、頼っているところが見えれば、悪くないから割と面白かったになったと思う。
この作家さんは色々な作風をチャレンジしてくれるのが嬉しい。これからも期待している。
探偵29才×刑事27才。事件物。シリアスタッチ。コミカル。



ボーイズ小説・院長先生にくちづけを(花丸文庫)須藤直希

研修医をしていた攻は兄が医療過誤をおかしたため、債権ともども繁華街にある医院に売り飛ばされる。昼は借金をかたに住み込みで院長・受とともに働くようになり、夜はツバメとして受に呼ばれると寝るようになったが…
期待していた4冊目。面白かった。4冊の単行本のうち3冊が医者物というのはどうかと思うが、それでもそれぞれ違った設定を書けるのはすごいと思う。
受は美人でやり手の院長。口が悪く男をくわえ込むが、仕事に対しては真摯で患者に親切。一本筋が通っている。過去に暗い傷を持つ。奔放で攻が聞いているのを承知で他の男とも寝ている。攻は医者の家で育ったが父親は傲慢で兄は医者として駄目な人物。家族の負債をかぶって被害者に賠償金を返し続ける。勉強を真面目にしたので女と遊んだことがなく朴念仁。顔は良いし体格も良い。真面目で仕事熱心。骨がある。
パターンとしては前回、前々回の設定をぎゅうぎゅう詰め込んだ作品よりは設定が少なく、「白衣を脱いでから」と似たような感じ。繁華街の医者と患者のやりとりは生き生きしている。書き方次第では暗くなる話だが、持ち前の力業で暗さを感じさせない。
この作家さんが好きなのはキャラが常識的な考えを持っているところ。攻が無理に受とHしてしまい、非常に反省する部分とか、普通の感性なら当たり前の事なのだが、ボーイズでは無視されがちな状況でもちゃんと書かれている部分が好き。
初めはぼんぼんで役に立たなかった攻が、受のために逞しく成長していくところは好き。がんばれーと思ってしまう。
相変わらず医療の細かいエピソード(カルテのクセとか派閥争いとか)が入っている。既刊それぞれに入っているが、ネタがかぶっていないのはすごい。脇キャラもちゃんと立っている。ニューハーフも男前だし、やくざの若がしらも少しだけまともになるし読後感は良い。
読んでいて考え方など、どうしても青臭い感じがするが、すがすがしい気分にもなれる。次も楽しみ。好きなんだが萌えーという感じではないな。
27才新米医者×32才院長。攻視点。医者物。繁華街にある町医者。ヘタレ攻と女王受。



ボーイズ小説・ずっと甘いくちびる(リンクスノベル)真先ゆみ

カクテルバーでバイトする音大生の受はある夜やってきた年下の大学生の攻に口説かれはじめる。プレゼント攻撃や強引な口説きに初めは相手にしていなかったが…
表題と続編2本。この作家さんのデビュー作。作品の出来としては可もなく不可もなくなのだが、個人的には微妙。一言で言うと作家さんと呼吸が合わないようだ。
受はピアノを弾く。クールビューティと言われる外見。気が強く4つ下の弟を溺愛している。双子の兄弟もいて3人兄弟。攻は財閥系の御曹司。複雑な家庭。何様で傲慢な性格だが、受に本気になり誠意を見せる。
何様な攻が受のバーにやってきて、最初はプレゼントや花で気を引こうとして受にすげなくされるのだが、急にガーデニングの店で働きだしてアパートも借りて、いきなり何で? と思った。一応理由は書かれていたが、最初の何様の性格が変化したわけでもなし、この性格で何故この行動取る? と不思議になる。
ついでに攻の妹が兄に恋人が出来たのを知り、受に「身を引け」と言いに来るのだが、これからどんな話に発展するんだろうと待っていたら、そのまま妹は受にすごまれ逃げ帰って終わっていた。このエピソードは後の伏線か? と思いながら読んでいたエピソードが違ったりと作家さんの文章と間が合わない。
前に進もうとすると引き留められたり、立ち止まると引っ張られたりという感じ。妙に疲れるし話にのめり込めない。
キャラや話は作家さんの個性が出ている方だと思うのだが、このままだとずっと合う事はなさそう。
しかしやっぱり、受がピアノをやっている意味が無いというか、こだわりが無いというか、どの設定も全体的に中途半端。
前作の「ワンダー」の兄弟本で「ワンダー」の主役カプも出てきている。2冊しか単行本が出ていない地点で、同人とか水面下でワールドが広がっていそうなことを匂わせる文章はちょっと気になった。
音楽大生21才ぐらい?×大学生御曹司19才

2004年03月11日(木)
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