眼花、井に落ちて水底に眠る
坂瀬

日記&BLの個人的感想。ネタばれ基本。まずは下のリンクのHOMEへ。


 ボーイズ小説・世界のすべてが敵だとしても:ふゆの仁子/花火咲いた!:剛しいら/冷たいシーツの上で:たけうちりうと

ボーイズ小説・世界のすべてが敵だとしても(リーフノベル)ふゆの仁子

警察官であった受は巨大企業の当主に呼ばれ屋敷に行く。そこで当主の跡継ぎである孫が命をねらわれていることを知り、その孫の代わりに囮となり敵をおびき出す協力をすることにした。当主の周りには私設の警備団があり、その中の一人・攻が何かと絡んできて…
一見まともそうな話に見えるとんでも本。のような気がする。面白いとは言い難い。突っ込むところが多すぎて微妙ーーな気分になった。この作家さんの話は結構読んでいる方だと思うのだが、そして80冊以上本が出ているらしいが、スパイやら大きな会社の陰謀やら銃が飛び出るちょっと突飛な話は、粗がありヘボくなるような気がする。
受は警察官。両親に先立たれ祖父に育てられた。美人系の顔立ちだが、あだ名がナイフというぐらいで腕は立つ。正義感が強く気も強い。攻は武術や銃など受より優れている。年令不祥だが二十歳になったばかり。顔は良く頭も良い。何かと受をからかい始めてのHは強引に押し倒した。
最終形態は野心的でできる当主とそれに影のように付き従う美人側近。というパターンになるのだろうが、、、
取りあえず行動の動機の説明がよく分からないものが多すぎた。受を押し倒した時の攻の言い分とか、真犯人の犯罪告白とか。優秀なはずの私設警備が、何であんな短絡的な攻撃(?)をしてきた犯人を長らく突き止められなかったのだろう。仕掛けが大がかりな割に尻窄みすぎ。昨日読んだ剛しいらの「花火」もそう感じたが、そっちの方がずっとましかも。でも大方のリーフ・ラピス作家の書くスパイ物よりはマシ。つーかこれもリーフノベルだが、レーベルに合わせてあほな話を書いたって事は無いよね。 
この作家さんの書いた大がかりな設定で、尻窄みでない話を読んだことが無いので、ある意味順当な結果なのだが。
ついでに、受がナイフとあだ名されるほど扱いがうまいという設定を作ったのならそれをもっと活用すればいいのに。犯人にあっさり捕まっている経緯を見ると、そんな設定も元警官でなくてもいいだろうと思ってしまった。下手に優秀と言われているだけに、捕まり方がアホすぎ。
どうやら脇キャラを主役にして次の話も出るらしい。そのキャラに作家は萌え萌えだそうだが、「キスラン」シリーズのラプンツェルみたいなタイプだったらどうしよう。
その続きを買うかどうかは微妙。
巨大企業跡継ぎ陰謀もの。20才警備員×元警察官(20代後半?)



ボーイズ小説・花火咲いた!(ビーボーイ)剛しいら

受は浅草で染め物を売る店の息子。攻は花火師の次男で跡継ぎ。受は昔攻の兄と付き合っていたが、殺傷事件をかぶり服役した後は行方不明になっている。攻は二人が付き合っていたことに気づき受に片思いしていたが、その兄が10年ぶりに帰ってきて…
一応面白かった。でも流石に続けて読むと飽きそう。大層な設定にギャグっぽく進みながらシリアスな面もあるのは、「シークレットプロジェクト」と同じ系統の話。脇キャラも立ってて良い。
受は染め物屋の息子で自分でも作品を作る。ゲイ。顔がきれいで着物を着ていると歌舞伎の女形に間違われそうな外見。攻の兄の事が好きだったが攻の事も気になり始める。攻は江戸時代から続く花火師の跡継ぎ。男気があり優しい。兄を越えたいと思っているが、久しぶりに再会した兄を見て難しいと思っている。
目の付けどころは面白いと思うのだが、1冊に花火師、染め物、やくざ、テロリスト、警察を入れるのは少し無理があったのではないか。中途半端とは言わないが、仕掛けが大がかりであったのに犯人逮捕の部分が尻窄みだった。日本でテロを行う動機が殆ど説明無かったので、それを追う必死さが伝わって来にくい。
メインカプ以外で攻の兄と警察官のHシーンがあり、それはそれで続きが読んでみたいと思えるエピソードであったのだが、本当にその部分だけだったので突然始まり突然終わった気がした。二人とも良いキャラであったのでなおさら残念。この部分を削って捕り物の部分を増やした方が良かったような。
脇キャラの30歳警察官の話が読んでみたい。
花火大会。花火師。やくざ。警察。花火師20歳×染物屋(20代半ばから後半)6.7歳差



ボーイズ小説・冷たいシーツの上で(シャイノベル)たけうちりうと

付属病院でレントゲン技師として働いている受は、研修医の攻が、急患で運び込まれた警察官の診察拒否をした時から気になって仕方がない。意識するうちにひかれていくが、診察拒否をした波紋は広がっていき…
面白かった。この作家さんらしい作品だと思う。攻が診療拒否をした理由を探す事が一つの鍵になっている。脇キャラも立っていて好感が持て、安心して読めると思うが、この作品が気に入るかどうかは、攻が受け入れられるかどうかな気がする。
受は、5人兄弟の末っ子で甘え上手。「王子様」と噂されるような外見。攻にひかれて奮闘する。仕事は熱心。下戸で遊び回らない。昔から男と付き合っていた。ふつうに良い奴という感じ。攻は法曹一家の出身で昔の恋人のために法学部から医学部に入り直した変わり種。腕が立ち患者にも親切。寡黙で次の行動が読めない。人付き合いも良くない。一見落ち着いてみえるが、かなり性格がきつくストーカーちっく。
攻がかなり変わっていた。この作家は、こういう流れが異なる時間の中で生きる人物を書くのが上手いと思う。「俺に近づいたら危ないぜ」(意訳)などと登場人物に言わせて笑いがこらえられるのは、北方作品ぐらいだろう。
気付いたら受の家族構成を調べていたり、写真を隠し撮りしていたり、昔の恋人が暴行されたということで逆上して殺しそうになったりと、よくある鬼畜&いってる攻より、更にきわきわにいる感じ。受が他人に害されたら本気で相手を殺しそうなタイプ。でもこういういってる攻も好きなので無問題。
怒らせると怖いのだろうが、普段はふつうに感性が他人とずれている。一種の不思議ちゃんだろう。
そういえば、攻がよくとるポーズというか癖を持っていた先生が学生時代にいた。高校時代の英語の先生だったのだが、浮世離れしていて、一種独特の雰囲気であった。教員の部屋でいつも会話に加わらず一人で原書でミステリーや哲学書を読んでいた。マイルールとポリシーのはっきりしたタイプで、この話を読んでいて、ふと思い出した。生活するために働いている感がありありと見えるのだが、自分のやるべき範囲と決めた中では丁寧で親切だったし、あそこまで別の次元で生きている人物なら仕方がないと思い、腹が立ったりしたことは無かった。こういうタイプって実際にいるんだな。しかしあの手のタイプは付き合うには大変だと思うよ。受よ。
一つ難を言えば、攻を助けようとする攻の指導医者と受が急に親しくなったのが唐突な気がした。
医者物。研修医(20代終わり〜30代頭?)×レントゲン技師(20代半ば?)。攻に7年付き合っていた元彼有り。

2004年01月22日(木)
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