心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2008年01月09日(水) 女にバカにされたくない?

「セックスは好きだけど、女は嫌い」っていう男はいっぱいいるでしょうね。

体が大人になるとセックスの相手が欲しくなります。
その相手は生身の女が望ましいわけで、ビニールの人形で良いわけがありません。ところが、生身の女には感情も自我もあるので、自由に操ることができません。

テレビ番組で、お見合いをしてもなかなか相手に恵まれない、という男性のためのセミナーを取り上げていました。その講師の女性が、男性たちに徹頭徹尾たたき込んでいたことは「そのままのあなたを男として愛してくれる女性は、世の中にたった一人、あなたの母親だけです」ということです。おお、確かに母の愛は偉大なり。
息子がたとえ、女を見下すようないけ好かない男であろうが、自分のことですら自分でしない怠け者であろうが、プライドばかり高くて思いやりがない男であろうが、母にとって息子は一人の男です。ところが、世の中の女性は息子になる男性を捜しているわけじゃありません。
男の中身が変わるのが一番なんですが、それは簡単な話じゃないので「せめてお見合いの間ぐらいは<良い人>にみせなさい」というわけです。

生身の女を相手にしていれば、逆に見下されることもあるし、やって欲しいことをしてくれないばかりか、して欲しくないことばかりやってくれたりします。それは男女の別なく「人間てそういうもの」なんですが、親離れしていない男は母親像を女に投影してしまうので、その違いばかりに目がいってイライラすることになります。

「過去自分はモテたんです」という人の話を聞いてみても、実はモテたのは学生時代だったりします。学生時代ってのは特殊環境なんですよ。年頃のオスとメスを教室っていう檻のなかに閉じこめてあるんですから。ペットだって、そうやっとけばたくさん子供を産むでしょう?
男女混合のアルコール病棟で、恋愛に走って治療にならないので二人そろって強制退院とか、入院するたびに新しい相手ができるとか・・こういう話と、学生時代モテモテ話は五十歩百歩であります。社会人になって、自由選択市場にでてから、どれだけ実績があったかですよ。

ありのままの自分を受け入れてください、って言う方が無理なんです。

え? お前はどうなんだって?

僕は、セックスも好きだし、女も好きですよ。


2008年01月08日(火) カレンダー

数年前のある日。電話がかかってきました。

「また飲んでしまいました」
「あそう。じゃあ、またやり直そう」

「もう、どうしていいか、わかりません。どうしても飲んじゃって」
「そりゃ、やることやってないから飲むんじゃないですか?」

「ちゃんとミーティングにも通ってたのに」
「そうかなあ、カレンダー見てごらん」

「・・・」
「ミーティングに行った日には○を、行く予定だったのに行かなかった日は×をつけるって話だったよね。カレンダー、どうなってる?」

「・・・」
「カレンダーは正直だよね」

「・・・何にも印が付いてません」
「そうだ。もう×を付けることすらやめちゃってたんだ。それが飲む準備だよ」

「ひいらぎさんはやってるんですか?」
「もちろん、僕みたいにミーティングに出たりでなかったりする人間にはとりわけ必要だよ。自分が思っているほど出てないものだからね」

「明日からまたミーティングに行きます」
「うん、それがいいよ」

まあ、実際にはExcelのシートに記録しているだけなんですけど、自分が思っているほど出ていないもんです。毎週行ってるつもりの会場でも、出席率7割ぐらいだったりして。


2008年01月07日(月) beleiveとfaithふたたび

下の子の手首のギブスは完全に取れましたが、上の子の足首のギブスはまだ半分残っています。ただそれでも、月末のスキーには行って良いと医者に言われたので、ずいぶん喜んでいます。

さて、ステップ2には「信じるようになった」と書かれているので、信じるようにならなければステップ2ができないと思ってしまう人は多いようです。

以前にも http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=19200&pg=20071127 beleive と faith については書きました。

コロンブスがポルトガルの港を出港した頃は、ほとんどの人は「世界は平面で、海の向こうには世界の果てがあり、そこからは海の水が地獄に流れ落ちている」と考えていました。一方コロンブスは、地球は丸いと考え、西へ航海すればアジア(カタイやジパング)へ届くと信じていました。彼はプトレマイオスやマルコ・ポーロの本を読んで、地球が丸いことを信じて(beleive)いましたが、確信(faith)というほどではなかったはずです。

多くの人が「彼の船は世界の果てから地獄に落ちるに違いない」いたわけですから、航海を続ける彼にもしっかりと不安があったはずです。

世界は彼の想像通りではなく、ヨーロッパとアジアのあいだにはアメリカ大陸があり、しかも彼が見つけたのはアメリカの東のバハマ諸島でした。彼はそこをインド(の東)だと思ったようで、現地人はインディオ(インド人)と呼ばれることになりました。

ともかく彼は、大西洋の向こうに土地があることを知り、本国へ帰りました。彼はその後3回新大陸へと航海します。けれどこのときにはもう彼の心には、世界の果てから落ちる不安はなかったはずです。逆に新大陸があることは、経験から来る確信(faith)に変わっていたと考えられます。

ステップ2も同じです。酒に対する無力をハイヤー・パワーが救ってくれる、ということを、疑いを持ちながらも信じてみる(beleive)ところから始めるしかありません。そして、コロンブスがパロスの港を出発したのと同じように、不安と疑いを持ちながらもステップ3で出発する決心をします。順調にその後のステップを航海すれば、いずれステップ12で「霊的目覚め」という新大陸にたどり着くでしょう。
その時に初めて「自分がやってきたことが自分を救ってくれた」というfaith(信仰)が生まれます。

だからステップ2では、疑いながらでも「いっちょ信じてみっか」と始めればいいのです。


2008年01月06日(日) 二者択一

妻がちっとも家計簿を付けないので、仕方なく僕が付けることにしました。薬局でダイエット用と称する栄養剤を買ったり、初詣の神社で何千円もお守り買ってみたり、結構無駄遣いしてるんじゃねーかよ、とは思うのですが、それを追求してスネられて、家計簿を付けることに協力してもらえなくなると、本末転倒です。なので、とりあえずスルーです。

さて、同じことの繰り返しになるのですが、ステップ1は人を回復させないと言います。ステップ1で「無力になる」のではなく、ずっと前から無力になっていることに今さらのように気づくだけの話です。つまり、ステップ1は知識です。
ただ、単に「自分が無力だ」という知識を持つだけじゃなく、無力を「心の底から」認めることが求められます。

無力であるのは嫌なことです。無力であることは絶望です。絶望が好きな人はいないでしょう。誰でも無力は嫌なものです。ですから、無力を認めると、人は無力を解消しようと努力が始まるはずです。

ここから先は僕の考えなのですが、無力の解消には二つの手段があるように思います。ひとつは「大きな力」によって無力を解消するステップ2へと進む方法です。

もうひとつ「もっとやさしい楽なやり方」があります。それは否認です。無力から目を背け「自分は無力じゃないんだ」と言い聞かせる方法です。生活が楽になればなるほど、恵まれるほど、この自己欺瞞が得意になります。もちろん無力は解消できていないので、長い目で見ればいずれ酒へ戻ることになるでしょう。

ステップ1だけができている、という人はいないはずです。そんな絶望的な、暗く、辛い状態に長いこと留まれる人はいないでしょう。だから、前へ進むか、後へ戻るか、どちらかをするはずです。

「AAミーティングに通い続けているけれどステップ1がから後ろに戻っちゃった人」はいっぱいいるんです。


2008年01月05日(土) エレキネタ

携帯電話とPHSの二台持ちという生活を続けています。
単純に電話代の節約を目指しての話ですが、予想外のこともありました。
それはPHS端末の作りがチャチであることです。

携帯とPHSの両方を持っていると、どうしても比較してしまいます。買ったのは京セラ製の最新端末なのですが、全般的に動作がもっさりと遅いのです。ただ、メニュー操作については、もっとレスポンスが悪い携帯電話もあるので我慢しましょう。
こらえられないのは、Opera(フルブラウザ)の遅さです。通信速度の問題ではなく、積んでいるプロセッサの遅さでしょうか。忍耐力養成装置になっています。

おまけにそのフルブラウザが、普通のホームページをまともに表示してくれません。「家路」も読めないところがたくさんあります。いきなりPHSを床にたたきつけて、「ぬおー」と叫びながら外に駆けだしていきたくなりますが、そこは我慢です。

あと作りが安っぽい。携帯電話3社のなかでは、auの端末が一番調達価格が安い=一番安っぽいわけですが、それと比べても明らかに安っぽい。キーの感触も悪いし、手に持ったときの重量バランスが悪いので、メールが打ちにくくてたまりません。いきなりPHSを床にたたきつけて、「ぬお(以下ry

Windows Mobile を積んだスマートフォンには力が入っているのかも知れませんが、主戦場の音声端末がこれでは・・PHSの未来が暗く感じられる今日この頃です。

いや、慣れればいいんだ、慣れれば。

「おせちもいいけどカレーもね」などと言ってしまったら、三日間カレーが続いたりしております。

いや、慣れればいいんだ、慣れれば。


2008年01月04日(金) 変わりたいのに

アルコールの専門病院に入院して分かったことは、やっぱり世の中のアル中の大多数は酒をやめられないのだ、という単純な事実です。
保護室に入れられたときには、こんなみじめな思いをするなら、もう二度と酒など飲むのかと誓いました。けれど、入院中に他の人の「また飲んだ」経験談を聞くにつれ、自分が酒をやめられる見通しも暗く感じられました。
人間はトラブルを抱えていても、そのトラブルが解決不能であると、問題を直視するのをやめてしまうものです。例えば、一生かかっても返済できない借金を抱えてしまえば、借金の残額がいくらかなんてチェックしたくもないでしょう。
だからその時の僕が、断酒という無理な話から目を背けてしまったのも、自然なことでした。

世の中には断酒会とかAAがあることも知っていました。でもそこは、酒がやめられる人が通うところであり、やめられない自分が行くところではないと思っていました。

人はなぜ変わることができるのか(例えば酒をやめることができるのか)の答えは、「そもそも変わりたいと思っているから」だそうです。変わりたいと思っていても、さまざまな心理的抵抗があって、変わることを拒んでしまうもののようです。だから、その抵抗をひとつひとつ外していく作業が必要なんでしょう。

あの時の僕は、AAには酒をやめられる効果はないと思っていました。AAの効果を否定していたわけです。

9ヶ月後にAAに行って、AAで酒をやめている人を見て、なるほどAAによって酒がやめられる人もいると思うようになりました。「AAの一般的効力を信じるようになった」ということです。

しかし、それだけでは十分でありませんでした。自分もAAで酒がやめられるかもしれない、という期待を持つ必要がありました。AAが自分にも効力がある(自己効力)と信じるようになって、初めて継続的な変化が始まりました。

こうして抵抗のひとつが取れたのですが、それには年月と、酒の破壊力と、人の言葉がたくさん必要でした。問題を抱えた人は、変わりたいという願望以上に、自分は変われないという絶望(抵抗)を抱えているようです。お前は変われない、という否定的な言葉は、内にも外にもいっぱいありますから。


2008年01月03日(木) 飲んでた頃の話をしようぜ

初詣に行って、おみくじを買いました引きました。
今年は「おおきち」です。上の子は「こきち」で、下の子は「まっきち」でした。パパは嘘ばかり教えるから全然信じてくれません。

待人:さわりあり来たらず
失物:出がたし下にあり
恋愛:将来幸福になる
病気:信神すれば治る

何年経っても「どのように酷く酒を飲んできたか」という飲んでいた頃の話は大切です。なぜならそれが基礎だからです。

年月の経過と共に、飲んでいた頃の悲惨な記憶は薄れていってしまうものです(スリップして更新しない限りはね)。だからといって、問題が解決したわけではありません。酒に対する用心深さがなくなったぶん、危なくなっているとも言えます。

いかに自分が酒をやめられなかったか=自分がいかに酒に無力だったか、です。

飲んでいた頃の話ができなくなっていくのは、だんだんアルコールに無力でなくなっていく過程です。やめ始めの頃は皆が真剣ですが、体や心や生活が楽になっていくと、無力であるという実感も薄れてしまうものです。要するにステップ1が抜けていってしまうのです。

ステップ1は人を回復させないと言います。それは「酒に対して無力」という大問題を抱えている現実を知るだけの話で、なにも解決していません。解決はその先のステップが与えてくれます。逆に言えば、ステップ1は、その先のステップをやるための「動機」を作ってくれるのです。

その先のステップができない理由には、おそらく二つの理由が考えられます。ひとつは単にステップに慣れていないという場合。もう一つは、ステップをする動機がない場合=ステップ1が抜けてしまった場合です。

ミーティングで飲んでいた頃の話しかしない人もいます。けれど、何年もするうちには不思議といろんな部分が回復しているように見受けられます。一方、飲んでいた頃の話ができない人には「何年経ってもアル中の否認は頑固だなぁ」という評価にしかなりようがありません。

苦しんでいなければステップをやる動機がありません。あの時ステップ1が入ったような気がしていたのは、実は体も心も生活も苦しかったから、無力になったような気がしただけです。それが証拠に、いろいろが楽になってしまった今は、飲んでいた過去のことなど思い出さずに日々を過ごしてしまってますから。

そんなことよりミーティングではもっと別の話がしたい・・ていう気持ちも分かりますが、ミーティング以外でそういう話ができる人間関係を築くぐらい回復しろよ、と言いたいですね。たくさんの人に聞いてもらわないと気が済まない、っていう心の問題も解決しましょう。

年数が経ってからステップ1をやるのは大変です。ステップをサボる癖だけはしっかりついちゃっていて。

いかに自分が酒をやめられなかったか=今も自分がいかに酒に無力「である」か。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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